- 著者
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金子 百合子
- 出版者
- 岩手大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2009
動的事象の推移において「限界」の概念はロシア語の言語的世界像を形成する意味的優勢素として提示されてきた(ペトルーヒナ)。事象の安定的側面を優勢的視座で記述する日本語と対照させることによって、日本語と比較した際のロシア語における「限界」の際立つ優位性を検証した。当概念の優位性は、終了限界性に基づくアスペクト的動詞分類、結果を修飾する動詞語形成手段の多さ、和訳における限界的解釈の希薄さ、アスペクトの文法範疇の主導的役割といった点に特徴的に現れる。