著者
萬行 英二
出版者
国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

多くの発展途上国で、女性は男性と比較して、教育水準が低く、自己申告の健康状態が芳しくないという結果が出ている。既存文献は、その原因として、家父長制(男子は成人後、実の両親と同居し、女子は成人後、義理の両親と同居)のもとで、未成年時の子供に対する、親の投資が男子を優遇し、女子に不利になるようにするインセンティブが作用することが一因であるとしている。本研究で調査するラオスは、アジアでは稀にみる家母長制の慣習の民族が大多数であり、ラオスにおける家計内資源配分を調査することは、既存文献の仮説(家父長制が男子優遇の家計内資源配分の一因である)を検証する意味で、意義深くもあり、興味深い。ラオスにおける家計内の食料配分を分析した結果、男性の食料消費は、女性の食料消費よりも、家計一人当たり食料消費についての弾力性が高く、特に、壮年期男性の食料消費についての弾力性が高いことがわかった。既存文献では、家計内における消費弾力性が高いことを家計内の地位が低いことの兆候とするものが多いが、理論モデルによる分析は、家計内における消費弾力性が高いことは、必ずしも、家計内での地位が低いこととはならないことを示しており、今次の分析結果から、ラオス壮年男性の家計内での地位について結論を導き出すことは困難である。

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@61oHCDcBz1yKfzL 家母長制の国ってあります?ラオスがそうらしいですが、色々と難しいんでしょうね。 https://t.co/jzRxHHHMsh

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