- 著者
-
藤枝 重治
- 出版者
- 福井大学
- 雑誌
- 挑戦的萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2010
エクソゾームは、ドナー細胞の細胞質内にある親水性の蛋白、細胞膜、その近傍にある蛋白とともに小胞体を形成し、MHC class I、IIの抗原情報を含んでいる。この情報が隣接した細胞内に取り込まれたり、細胞表面の受容体を刺激したりする。そこで舌下免疫療法にて著効した患者血漿中からエクソゾームがそのような効果があるか調べることを目的として、まず血漿中からエクソゾームの分離を試みた。その結果15μgから80μgのエクソゾームが分離できた。さらにウエスタンブロットを行うとMHCクラスIIα鎖、CD9、CD86のバンドが検出できた。しかし抗CryJ1抗体では、バンドは検出できなかった。以上からエクソゾームの回収は可能であるが、やはり量が少ないことが問題であり、更なる検討には、回収量の改善と検出感度の向上が必須であることが判明した。