- 著者
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楠 綾子
- 出版者
- 関西学院大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2011
本研究は、日米安保条約を基礎に日米が1950年代を通じてどのように、どのような安全保障関係を形成したのか、とくに在日米軍基地の運用をめぐる合意形成に焦点を当てた研究である。条約締結時に日本が自衛の能力と意思に乏しかったこともあって、日米間の安全保障関係の中心的機能は、共同防衛よりも基地の貸借と運用であった。その性格は1950年代を通じてほとんど変わらず、日米は基地の運用をめぐってさまざまな慣行や制度を作りあげていった。事前協議制度はそのひとつの例である。本研究は、日米両国が米軍基地の運用に日本が協力する仕組みを形成することを通じて、日米が「同盟」関係を形成したことを明らかにしている。