著者
安西 信一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本年度は、研究の中でも特に基礎的な原理的分野に焦点を当てて行った。中でも日常性の美学や環境美学など、庭園という美的芸術的現象の中核をなしながら、しかもそれを現代美学の先端的な問題と接合するために重要な分野にかんする基礎研究が中心になった。具体的には、とりわけ現代日本におけるポストモダン的な美的芸術的諸現象を一つの特権的な事例として取り上げ、それを深く考究することで、そこにおいて顕著な、「今ここ」の重視、「近さの美学」、「日常性の美学」、「歴史回帰」、「ドメスティック指向(地方・国内・家庭指向)」などに光を当てた。そのことにより、庭園の根幹をなす土地への帰着とそこからの超越、また時間的には、現在でありながら永遠を指向するというその二重性を、広いコンテクストから考察することに成功した。と同時に、それらがグローバル化、フラット化、情報化、二次元化といったものの影響を受け、同時代的な変化を強く被っていることにも注目し、それらと調和しつつも、それらに対抗する戦略について考察した(たとえば、ハイブリッド性を確保しつつ、今ここに流れ込む歴史に回帰し、それを咀嚼し、批判的に発展させることなど)。またそのような観点から、現代の庭園美学は、当然テーマパーク研究を視野に含めなければならないが、不完全ながらそのような研究も行った。さらに同様の関心から、現代の映像作品の中で、庭園がどのように描かれるかにも注目し、自然と人工、開かれと閉ざされなどの二重性が、現代の二次元映像の中でも十分に意味を持ちうることを示した。さらに現代美学的な観点から最も重要と思われる風景式庭園(およびランドスケープ・アーキテクチャーやランドアート)についての受容史的な考察も引き続き行っている。

言及状況

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こんな研究ありました:庭園の美学的研究――内部と外部の二重性を中心に(安西 信一) http://t.co/a1LFiPQCUm

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