- 著者
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笹岡 利安
恒枝 宏史
和田 努
- 出版者
- 富山大学
- 雑誌
- 挑戦的萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2013-04-01
エストロゲン(E2)は性周期や妊娠の制御に加えて糖脂質代謝にも関与する。本研究では、E2が制御性T細胞(Treg)を介して慢性炎症を制御することで糖代謝に関わる可能性を検討した。雄性マウスでは、高脂肪食負荷により内臓脂肪組織のTregは減少するのに対し、雌性マウスではTregは増加し、卵巣摘出によりTregの増加は消失した。また、雌性では高脂肪食負荷による慢性炎症が抑制されるのに対し、卵巣摘出により雄性の高脂肪食負荷マウスと同程度の慢性炎症を認めた。以上より、雌性マウスのE2はTregの内臓脂肪組織への局在と機能を高めることで、肥満に伴う代謝障害に対して防御的に作用する可能性が示された。