著者
富永 健一
出版者
東京大学
雑誌
特定研究
巻号頁・発行日
1985

本プロジェクトの目的は、社会調査データに関するデータバンクを作成することによって、データの共同利用を促進することにある。この目的のために、昭和58年度および59年度において、日本における社会調査データの所在・形状・内容等についてのアンケート調査を実施し、その回答に基づいて社会調査データについてのデータベースを作成した。データベースはパーソナル・コンピューターにファイル化することで必要に応じた検索を可能にするとともに、情報の一部を冊子に編集してアンケート調査に回答した研究者の配布した。本年度の作業は、実際に磁気テープ化された社会調査データを収集し、コードブックを作成してデータの共同利用を可能にすると共に、研究メンバーによるそのデータの分析を行うことである。収集されたデータは、研究メンバーの専攻分野とデータの入手可能性に鑑み、社会階層に関する分野に限定されたが、日本(1955年,1965年,1975年),米国(1962年,1973年),英国(1972年),西独(1980年),ポーランド(1972年)と広く国際的に協力を得ることができた。これらのデータはすべて磁気テープ化されており、SPSSによる集計のための基本プログラムが作成され、東大計算機センターをはじめとする日本の主要な計算機センターでの利用が可能になった。またコードブックについては、日本は研究代表者である富永などによってすでに作成されていたが、諸外国のそれは英語ないし独語で書かれていて使いにくいので、邦訳した上で冊子にまとめ、広く日本の研究者にとって利用できるよう作業中である。以上の作業に基づいて、研究メンバーが各国のデータを分担し、時系列的な社会移動のトレンド分析ないし国際的な社会移動パターンの比較分析を行い、その結果を論文化した上で冊子にまとめることによって社会階層研究に貢献すると共に、データバンクの有効利用の可能性を示すべく作業中である。

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