著者
島 正子
出版者
国立科学博物館
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

昨年度本研究費で改良した本館既設の質量分析計を用いて、E3に属する頑火輝石球粒隕石、やまと6901隕石と清鎮隕石中に存在する長寿命放射性核種、^<87>Rb,^<87>Srを測定した。隕石をその構成鉱物成分に分けて各成分中の主成分元素を定量すると共に、上記^<87>Srを質量分析したところ、両隕石とも、幾種類か存在する珪酸塩鉱物から抽出した上記核種はすべて2×10^9年という年代を示す直接上にくるのに対して、硫化鉱物から抽出したものは親核種である^<87>Rbが娘核種である^<87>Srに対して極端に少ない方向に直接から大きく外れること、これら各点のデ-タすべてを足し合わせたもの、隕石全体を分離することなく測定したものは、共に普通の球粒隕石の年代である4.5×10^9年を示す線上にくることを示した。現在、他の長寿命放射性核種対である^<147>Sm-^<143>Ndの測定を行い、両結果を合わせてこの隕石の成因に関する結論を出したいと考えている。1984年青森県に落下した青森隕石中の宇宙線生成放射性核種の測定は、当時まだ本館に低バックグラウンド放射能測定装置が設置されていなかったので、試料を理化学研究所に持ち込んで測定してもらった。その結果の一部は宇宙線生成ヘリウムやネオンなどの安定希ガスのデ-タと大きな不一致を示し、どうにも納得できなかった。そこで一昨年度本研究費で整備した微量放射能測定装置を用いて測定し直した。その結果上記不一致は解消されたので、現在研究報告をまとめているところである。これまで続けていた、1986年に香川県落下した国分寺市隕石中の宇宙線生成放射性核種の測定、及び山形大学の高岡宣雄教授と西ドイツマックスプランク研究所のL.Shultz教授に測定を依頼していた宇宙線生成希ガスの測定はすべて完了したので、青森隕石の報告書に引続き、報告書をまとめるために準備をしている。

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