著者
島 正子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学教育 (ISSN:24326542)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.477-479, 1984-12-20 (Released:2017-09-15)
被引用文献数
1

宇宙に存在する元素の割合をみると水素が最も多く, 次はヘリウムで, これだけで全体の99.8%以上をしめる。その次に多い酸素は水素の0.07%, 地殻などを形成しているケイ素は約0.004%にしかすぎない。太陽系に限ってみると, このようにたくさんある水素やヘリウムの大部分は, 主として太陽と木星以遠の外惑星を形成していて, 地球型惑星や衛星からはほとんど失われてしまっている。どうしてこのように劃(かく)然とした違いが生じたのであろうか。また地球型惑星や球粒いん石, 月ではケイ素と酸素の原子比が1 : 3.4-3.8である。1 : 4に近いが4以上でもなくまた3以下でもないことに注目する必要がありそうである。これらの事実を, 化学者が原子, 分子の結びつきという立場から検討していくことが必要なのではないだろうか。宇宙はもはや, 天文学, 物理学, 地学の人たちだけのものではない。
著者
島 正子
出版者
国立科学博物館
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

昨年度本研究費で改良した本館既設の質量分析計を用いて、E3に属する頑火輝石球粒隕石、やまと6901隕石と清鎮隕石中に存在する長寿命放射性核種、^<87>Rb,^<87>Srを測定した。隕石をその構成鉱物成分に分けて各成分中の主成分元素を定量すると共に、上記^<87>Srを質量分析したところ、両隕石とも、幾種類か存在する珪酸塩鉱物から抽出した上記核種はすべて2×10^9年という年代を示す直接上にくるのに対して、硫化鉱物から抽出したものは親核種である^<87>Rbが娘核種である^<87>Srに対して極端に少ない方向に直接から大きく外れること、これら各点のデ-タすべてを足し合わせたもの、隕石全体を分離することなく測定したものは、共に普通の球粒隕石の年代である4.5×10^9年を示す線上にくることを示した。現在、他の長寿命放射性核種対である^<147>Sm-^<143>Ndの測定を行い、両結果を合わせてこの隕石の成因に関する結論を出したいと考えている。1984年青森県に落下した青森隕石中の宇宙線生成放射性核種の測定は、当時まだ本館に低バックグラウンド放射能測定装置が設置されていなかったので、試料を理化学研究所に持ち込んで測定してもらった。その結果の一部は宇宙線生成ヘリウムやネオンなどの安定希ガスのデ-タと大きな不一致を示し、どうにも納得できなかった。そこで一昨年度本研究費で整備した微量放射能測定装置を用いて測定し直した。その結果上記不一致は解消されたので、現在研究報告をまとめているところである。これまで続けていた、1986年に香川県落下した国分寺市隕石中の宇宙線生成放射性核種の測定、及び山形大学の高岡宣雄教授と西ドイツマックスプランク研究所のL.Shultz教授に測定を依頼していた宇宙線生成希ガスの測定はすべて完了したので、青森隕石の報告書に引続き、報告書をまとめるために準備をしている。
著者
福島 正子 小林 拓美 竹山 恵美子 早川 保昌
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.682-686, 1990-09-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

弱酸性食品であるビールに金属アルミニウムが長時間接触した場合,食品がどのような影響を受けるか,その腐食傾向と食品中のアルミニウム溶存量を測定することにより検討した.まずビールによる金属アルミニウムの腐食傾向を自然電極電位の経時変化及び分極曲線で測定したところ,ビールはアルミニウムを局部腐食より全面腐食しやすいということがわかった.次に市販ビール中に溶存するアルミニウムを原子吸光分光光度計で定量した場合,缶からビール中にアルミニウムが溶出することがわかった.その際溶出量は3ケ月以上の室温保存で有意に増加することが認あられた.また5℃で保存したものより室温保存した市販缶ビールの方がアルミニウム溶存値は高いという結果が得られた.
著者
竹山 恵美子 坂口 沙和 津田 早友果 中野 由希 新海 シズ 福島 正子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

【目的】柿の葉にはポリフェノール類が多く含まれ,その抗菌性や抗酸化性等が注目されている。古くから柿葉は柿の葉寿司や柿茶などに用いられてきたが,機能性に関する研究は未だ十分ではない。これまでの研究から柿の葉には&alpha;-アミラーゼ阻害活性が認められており,このことは,柿の葉に血糖値を抑制する働きがある可能性を示唆している。また,一部のヒト試験でもその傾向は認められている。そこで今回は柿の葉茶の血糖値抑制効果をさらに詳しく調べるために,食事性肥満マウスを用いて実験を行った。<br>【方法】B6J DIOマウス♂(8週齢)を1週間の予備飼育後,体重・血糖値を基に2群に分け,柿茶投与群には柿茶抽出濃縮物の0.5%溶液を,対照群には水道水を,飼料は固形の高脂肪飼料D12492 60kcal%Fat をいずれも自由摂取させた。なお,体重,飼料摂取量,飲水量は経日測定し,血糖値は1週間ごとに尾静脈より採血してメディセーフミニ(TERUMO社)にて測定した。柿茶投与6週間後に,18時間絶食後,ゾンデを用いてグルコース負荷試験を行い,屠殺・採血後,解剖した。膵臓,肝臓,腎臓については組織標本を作製し,観察した。また,HbA1c をDCAバンテージ(SIEMENS社)により,血漿インスリンをMercodia社 マウスインスリンELISAキットを用いて測定した。なお本実験は昭和女子大学動物実験委員会の承認を得て,規定を遵守して実施した。<br>【結果】非空腹時血糖値及び,グルコース負荷試験時の血糖値,HbA1c,血漿インスリン濃度は,柿茶群と対照群に大きな差は認められなかったが,柿茶濃縮物投与群は対照群に比べてグルコース負荷試験における血糖値曲線下面積が低値となる傾向が認められた。血糖値抑制効果の可能性が示唆された。
著者
江島 正子
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.1978, no.38, pp.15-28, 1978-01-31 (Released:2009-09-04)
参考文献数
40

In accordance with the trend of the development of natural science during the 17th century a tendency appeared during the 18th and 19th century of applying the method of natural science also to the field of pedagogy. In West Germany the method of positive scientific research was introduced in the 1960es as “empirical-ana-lytic science”. During the 70es a group of German educational scholars who originally belonged to the so-called geisteswissenschaftliche Pädagogik (philosophical pedagogy) started to apply the “empirical-analytic method” to education. One of the most outstanding characteristics of their method is the attempt to found their views on the “critical theory” initiated by Horkheimer (1895-1973) of the “Frankfurt School”. This type of research issued into a new school of thought in pedagogy called “Handlungsforschung” (action research).
著者
新海 シズ 竹山 恵美子 福島 正子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 61回大会(2009年)
巻号頁・発行日
pp.24, 2009 (Released:2009-09-02)

[目的]市田柿は長野県飯田・下伊那地方に多く見られる在来の渋柿であり,果肉成分や脱渋機構は明らかにされている.一方,柿の葉はラジカル消去作用,アレルギー抑制作用などが明らかにされているが市田柿の葉においての報告はほとんどみられない.そこで,市田柿の葉の有用性を探るために抗酸化力および抗菌効果について検討した. [方法] 試料は,飯田女子短期大学構内の市田柿の葉を5月から9月にかけて採取し,蒸留水で洗浄後凍結乾燥した.その乾燥葉に100倍量の沸騰蒸留水を加え5分抽出後,No.2のろ紙で濾過し抗酸化試験に用いた.抗菌試験は7月に採取した葉を用いて,抽出時間10分および20分で行った.抗酸化力は抗酸化能測定キットを用い,発生したCu+をマイクロプレートリーダー(490nm)で測定した.抗菌試験は Escherichia coli および Staphylococcus aureus 株を用い,カップ法で行った.また,試料に含まれるポリフェノール含量はFolin-Denis法で定量した. [結果] 市田柿の葉の熱水抽出物の抗酸化力は,5・6月に採取した葉がおよそ1,300μmol/L( Cu還元力)と高く,8・9月に採取した葉は814,853μmol/Lと低下し5・6月の葉の6割程度であった.また,抗菌試験においてはStaphylococcus aureusに対して抗菌効果が見られたが,Escherichia coli に対しての抗菌効果はあまりみられなかった.ポリフェノール含量は,柿の葉抽出時間20分のものが2,016μg/mlであり10分のものより多かった.
著者
柴田 丸 吉田 玲子 本橋 幸子 福島 正子
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
薬学雑誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.93, no.12, pp.1660-1667, 1973-12
被引用文献数
8

Crude saikosides did not affect the LD_<50> value of sodium hexobarbital in mice. It also exerted a protective effect on the pylorus-ligated ulcer of the rat with inhibiting gastric secretion. The cure of chronic ulcer produced by the injection of dilute acetic acid into the rat gastric wall was promoted by crude saikosides. Saikogenin A showed a potent effect of decreasing spontaneous motor activities of the mice treated with methamohetamine hydrochloride. It had a significant antitussive, hypothermic, and antipyretic effect, and inhibition of acetic acid-induced writhing responses. In addition, salikogenin A strongly reduced a carrageenin-induced rat paw edema, without any local irritaition by topical application. On the contrary, only analgesic effect was found in the syrupy residue. The significance of these pharmacological results was discussed.
著者
島 正子
出版者
一般社団法人 日本質量分析学会
雑誌
Journal of the Mass Spectrometry Society of Japan (ISSN:13408097)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.77-85, 2014-12-01 (Released:2014-12-15)
参考文献数
23
被引用文献数
1
著者
竹山 恵美子 小沼 朋恵 高内 沙紀 堀内 美香 福島 正子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 63回大会(2011年)
巻号頁・発行日
pp.174, 2011 (Released:2011-09-03)

【目的】ペルーで栽培されるサッチャインチの完熟種実から圧搾して得られるグリーンナッツオイル(サッチャインチオイル)は,ω-3系脂肪酸であるα-リノレン酸とγ-トコフェロールに富んでいる。発表者らはこのオイルが生体に対して高い抗酸化力を示し,DNAの酸化損傷を抑える働きを有する可能性を臨床試験により明らかにした。一方,アマニ油やエゴマ油も同様にω-3系脂肪酸に富んだ油として知られており,以前から使用されている。しかしながら,ω-3系脂肪酸を豊富に含む油脂は加熱や光照射による影響を受けやすく,保存や調理の際の劣化が問題となる。そこで,より適した調理法を開拓するためグリーンナッツオイル,アマニ油およびエゴマ油の加熱および紫外線照射による影響について検討した。 【方法】試料はグリーンナッツオイル,アマニ油およびエゴマ油の3種類を用いた。これらを各々フライパンに一定量とり,80,100,120,140,160,180℃で10分間加熱した。また,UVランプを用いて,0,5,10,15,20,25時間紫外線照射した。これらの過酸化物価,カルボニル価を測定した。【結果】紫外線照射により過酸化物価・カルボニル価は,3種の油ともに上昇したが,その値はアマニ油>エゴマ油>グリーンナッツオイルの順で,特にグリーンナッツオイルは他の2種に比べて著しく低い値であった。また,10分間の加熱においても,温度の設定が高くなるほど両価の上昇が認められたが,過酸化物価はある温度をピークに減少し,その減少開始温度は油の種類により異なった。140℃までの加熱においては,グリーンナッツオイルが3種の油の中で最も劣化度が低いことが認められた。