著者
神鳥 武彦
出版者
広島大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

現代社会は、人の移動、移住の盛んな時期を迎えている。人は移動・移住を余儀なくされつつある。こういう時に、人はどのようにして、新居住地に適応しつつあるのであろうかと考えることは、ひじょうに大切な課題となろう。この研究は、人の移動、移住に伴って生ずる諸問題を解明する一方法として、言語を対象にして迫ろうとするものである。対象地として取り上げた東広島市は、近年、都市化の著しい町である。広島大学の移転、マツダ株式会社の社宅設置などによって、当東広島市には急激な社会変動が生じつつある。他地方から東広島市に移住した人人、あるいは在来の東広島市の市民たちに、どのような言語変化が生じつつあるであろうか、これを明らかにするのが、この研究の目的である。大量の人々の状況を明らかにするため、アンケ-ト法を用いて調査した。人々の方言意識や方言使用の実態を数量的に捉えようとしたのである。その結果、次のような諸点が明らかになった。箇条書きにしてまとめてみると、次の通りである。1 自然発生的集落と社宅との、いずれの場合にも、女性はほぼ同一程度の比率をもって回答している。すなわち、一つの語詞に対する用いない、用いるという比率は、ほぼ等しい。2 男女差は、自然発生的集落居住者のほうに、明確に示される。社会体制の差が言語に反映していると見られる。3 移住者は、自然発生的集落においてもまた社宅においても、その居住地の県内出身者の方言使用の比率に正の相関をもっている。すなわち県内出身者の方言使用に習得の機会をえていると見られる。4 それぞれの居住地区に、10年以上居住している人々は、広島泡言に対して親近感をもつようになるとともに、広島方言を使用する比率も急角度に上昇するようになる。

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