著者
片岡 洋祐
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-04-01

プラズマは光・電子・イオン・ラジカルの集団で、生体分子や組織と相互作用することが知られ、近年、癌治療や止血等に応用されようとしている。しかしながら、中枢神経組織へのプラズマの作用については報告が少なく、その応用の可能性は未知数である。本研究ではラットの中枢神経組織を対象に大気圧プラズマを照射し、神経伝達や組織の可塑性・再生機能へ及ぼす効果を検討した。特に、大脳新皮質へ大気圧プラズマを直接照射して、その後の組織学的な変化を観察した結果、照射3日から7日後にかけて、大脳皮質の照射部位近傍において、グリア前駆細胞マーカーを発現する細胞やミクログリアマーカーを発現する細胞などの複数の細胞種が層状に配列する特徴的な組織構築が形成され、組織の再生を誘導する再生面を形成することを発見した。また、照射後3日をピークに未分化細胞マーカーを発現する細胞も多数出現し、活発に増殖していることも見出した。そこで、こうした大脳皮質組織を採取し、培養試験系にてスフェア形成実験を実施し、多分化能を有する幹細胞が誘導されているかを検討した。その結果、プラズマ照射組織からは大型のスフェアが多数形成され、分化誘導するとニューロン・オリゴデンドロサイト・アストロサイトなどの中枢神経細胞が得られることもわかった。大気圧プラズマ照射技術は、今後、中枢神経組織をはじめ、生体のさまざまな組織の再生医療に応用展開できる可能性が見出された。

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