著者
本田 学 新藤 純子 岡本 勝男 川島 博之
出版者
システム農学会
雑誌
システム農学 (ISSN:09137548)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.157-165, 2008-07-10

都市化や高齢化といった人口構成の変化を考慮し,中国の食料需要量を省市自治区・都市農村別に予測した。予測モデルは人口部門と食料需要部門から成る。人口部門では,人口移動を考慮したコホートモデルを用いて将来人口を推計し,食料需要部門では,所得を外生変数として一人当たり食料需要量を予測した。データの精度が疑わしい場合は,文献を参考に補正を行った。推計の結果,食用穀物及び動物性食品の需要量は,2005年の1.94億t,0.60億tから,2030年の1.35億t,0.99億tへとそれぞれ変化した。都市化と農村部の所得増加が,穀物から動物性食品への需要シフトを引き起こす。しかし,一人当たり需要量の格差解消や高齢化により,動物性食品需要の伸び率は今後低下する。