著者
原田 隆平
出版者
分子シミュレーション研究会
雑誌
アンサンブル (ISSN:18846750)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.61-65, 2013-01-31 (Released:2014-01-31)
参考文献数
11

生体分子の生物学的機能や構造安定性を調べるうえで, それらを規定している生体分子の自由エネルギー地形を計算することは重要である. 本研究では, とくに蛋白質における自由エネルギー地形を効率的に計算するための計算手法を開発した. 蛋白質は, ヘテロな原子から構成された多自由度系であり, 周囲との相互作用が複雑である. このため, 自由エネルギー地形上には数多くのエネルギー極小状態が存在し, 通常の分子動力学シミュレーションを用いた構造探索では, これらの準安定状態に構造がトラップされてしまうため, 効率的に自由エネルギー地形を計算することは困難である. このような理由から, 新しい自由エネルギー地形計算手法として, 自由度の異なる2つのモデル (粗視化モデル・全原子モデル) を錬成したマルチスケールシミュレーションと, 超並列シミュレーション (互いに通信のない完全に独立なシミュレーション) を組み合わせた, Multi-Scale Free Energy Landscape calculation method (MSFEL法)を開発した.
著者
丸山 直也
出版者
分子シミュレーション研究会
雑誌
アンサンブル (ISSN:18846750)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.90-93, 2012-04-30 (Released:2013-04-30)
参考文献数
12

GPU 等のHPC 向けメニーコアアクセラレータの研究開発が盛んである.既存CPU と比べて大幅に優れた電力効率を達成可能であり,アクセラレータを用いたスーパーコンピュータなどの大規模システムの構築も進んでいる.本稿ではメニーコアアクセラレータのこれまでの普及および今後の進展について特にGPU を中心に紹介する.
著者
坂牧 隆司
出版者
分子シミュレーション研究会
雑誌
アンサンブル (ISSN:18846750)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.76-80, 2012-04-30 (Released:2013-04-30)
参考文献数
12

グラフィックカードを用いて古典分子動力学シミュレーションの高速化を行った.具体的にはLJ ポテンシャルと,Particle Mesh Ewald 法を用いた際の静電ポテンシャルの近距離成分と遠距離成分の計算を実装した.また,LJ ポテンシャルおよび静電ポテンシャルの近距離成分の計算においては,使用する変数の精度が計算結果に与える影響を調べた.
著者
成見 哲
出版者
分子シミュレーション研究会
雑誌
アンサンブル (ISSN:18846750)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.72-75, 2012-04-30 (Released:2013-04-30)
参考文献数
2

CUDA を使ったGPGPU を始める際に,「そもそも対象とする計算コードをGPU で実行すべきかどうか」,「とりあえずはGPU 化したが今後最適化すれば速くなる可能性があるかどうか」を見極めることはなかなか難しいことです.ここでは,GPU での高速化で注意すべき点に重点を置き,独自ツールの紹介を交えて解説します.