- 著者
-
杉田 有治
光武 亜代理
岡本 祐幸
- 出版者
- 一般社団法人 日本物理学会
- 雑誌
- 日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.8, pp.591-599, 2001-08-05 (Released:2008-04-14)
- 参考文献数
- 61
- 被引用文献数
-
2
タンパク質などの多自由度の系では,エネルギー極小状態が無数に存在するため,従来の手法による計算機シミュレーションでは,それらのエネルギー極小状態に留まってしまうという難点がある.筆者らはこの困難を克服する手法として,拡張アンサンブル法の適用を主張してきた.この方法は非ボルツマン因子に基づいており,ポテンシャルエネルギー空問上の一次元酔歩を実現することにより,エネルギー極小状態に留まるのを避ける.本稿では,よく知られている三つの拡張アンサンブル法(マルチカノニカル法,焼き戻し法,及びレプリカ交換法)とその改良版について解説し,それらのタンパク質の折り畳み問題における適用例を紹介する.