著者
深田 陽子 山口 泰
出版者
図学研究
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.9-14, 2008

本研究では, 顔画像を解析することによって, 顔の見た目年齢を推定するとともに, その見た目年齢を保存しつつ魅力度を高める顔画像の操作法の実現をはかる.顔の見た目の年齢推定には, 各年代を代表する典型的な顔をサポートベクターマシンによって学習させ, 年齢判別ベクトルを求めた.この年齢判別ベクトルに各顔の特徴ベクトルを投影し, 年齢推定の判断基準として用いた.顔の魅力操作にあたっては, 性別や年代といった要素とは独立して, 魅力的/非魅力的と感じさせる要素があるものと仮定し, 年代ごとの魅力顔について調査した.以上を踏まえた上で, 入力画像に対して見た目の年齢を保ったまま顔の魅力を増減するために, 入力画像の年代を推定し, その年代における魅力顔に近づける操作法を示す.
著者
加藤 千佳 太田 昇一
出版者
図学研究
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.103-108, 2007

葛飾北斎は, 国際的にも有名な日本を代表する絵師の1人である.彼は狩野派・土佐派・洋風画・漢画など様々な画風を学んだとされ, それらを吸収しながら彼独自の作風を作り上げた.北斎の構図は独創的であり, いくつかの著作の中でその構図の基礎を著している.「三ツワリ法」や「コンパスと定規を用いての作図法」を絵手本で紹介し, また遠近法と陰影を強調する手法を用いて「洋風木版画シリーズ」を描いている.本研究では, 彼の代表作である「冨嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」を対象に, 「神奈川沖浪裏」の芸術性を高めている重要な要因の1つが北斎独特の構図に因ることを, 「おしおくりはとうつうせんのづ」との関連性から検証した.さらに幾何学的観点から構図に潜む比の果たしている役割について考察を行い, 特に構図の要となる不変な黄金矩形が存在することを幾何学的に立証する.
著者
蛭子井 博孝
出版者
図学研究
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.9-14, 1985
被引用文献数
1

The Cartesian ovals are simply defined with bipolar coordinates. However it is difficult to draw them by handwriting. In this paper, therefore, we have constructed a computational drawing system by means of XY plotter that works with PC 8001mkII. And then, the ovals will show some particular properties. First, the ovals change gradually with left and right eccentricities. Second, the set of the intersections of three circles forms the oval. Third, when the eccentricities change continuously without changing the director circle and the foci, the ovals fill between the ellipse and the director circle. Forth, there can be shown two kinds of evolutes of the ovals. The one is drawn as an evelope of the straight lines, and the other with paramatric equations. In this way, these properties of the oval can be shown for the first time by using computational drawing system.
著者
山内 一晃 阿部 浩和
出版者
図学研究
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.35-40, 2004

大学は社会で期待される能力を備えた学生育成を教育目的の一とするが、期待される能力の内容や大学での教育成果がどの程度企業で生かされるのか十分把握できているとはいえない。そこで大学教育と企業教育の接点を模索する第1段階として、大手総合建設会社T社の建築設計に関する新社員教育の概要を記録・分析し以下の結果を得た。T社の社員教育は全社的社員教育を推進する「教育研修体系」として整備され、新社員教育はその内の社員や管理職等の階層別教育の一として位置付けられ昭和43年から毎年実施されていること、新社員は1年間大阪で全寮生活を送り、入社後7日間の導入教育を受けたあと3回の配置転換を経験すること、技術系新社員は設計部、見積部、作業所の3部署を経験すること、設計部配属の新社員は配属先の指導担当者からマンツーマン教育を受け、設計部独自のカリキュラムに基づく品質、環境、防災、CG, CAD等の新社員教育を受講し、設計部配属終了時にはそれまでの設計教育の総集編ともいうべきONEDAY EXERCISEなる設計演習を行い、教育成果と設計能力の評価を受けること、この間上長と指導担当者は「新社員教育計画・指導記録表」の作成とフォローを行い次部署に引き継ぐこと、設計部配属の新社員は各種の新社員教育や寮会に出席のため、現業の実務時間は一般社員の約75%程度であること、などが判明した。
著者
渕上 季代絵
出版者
図学研究
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.75-78, 2001

本研究は唐草紋様の螺旋について、そのパターン的特徴から何らかの数理的要素を取り出し、パターン生成アルゴリズムの作成を目的としている。前回は風呂敷のパターンを対象に全体的特徴と部分的特徴について述べた。全体的特徴として、個々の螺旋が連結して全体を構成しており、しかも平面が螺旋によって均一に埋め尽くされている平面充填パターンであるとした。また、部分的特徴としては、個々の螺旋の形態的特徴と螺旋間の関係について明らかにした。今回は、全体的特徴である平面充填について検討し、螺旋による平面充填パターンの生成アルゴリズムの作成を試みた。まず、手がかりとして平面充填曲線の描画アルゴリズムを検証した。一定の操作で線を折り曲げていくと平面を埋め尽くすことで知られているこの曲線の各部分に螺旋を配置することで螺旋による平面充填が可能になると考えた。唐草紋様の平面充填以外のパターン的特徴として螺旋どうしは交叉がなく、連結していることが挙げられることから、これらを満たす配置の方法を検討した。