著者
浦木 隆太
出版者
国立研究開発法人国立国際医療研究センター
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

持続感染から、慢性肝炎、さらには肝癌を引き起こすB型肝炎ウイルス(HBV)は、世界中で20億人にものぼる感染者がおり、公衆衛生上重要な感染症である。しかし、HBV持続感染が成立する機序や持続感染が維持される機序に関して、免疫学的に十分な解析は行われておらず、様々な課題が残されている。HBV持続感染時、宿主では抗ウイルス応答が活性化されていないことから、そのような応答を抑制する機序があると予測される。そこで、本研究課題では、免疫抑制能を有する制御性T細胞および制御性T細胞と相互作用する免疫細胞に焦点を当て、ウイルス学・免疫学的視点からHBV持続感染の成立および維持に重要な機序の解明を目指す。
著者
山崎 奈穂
出版者
国立研究開発法人国立国際医療研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

B細胞亜集団である制御性B細胞はIL-10産生を介して強い抗炎症機能を持つが、IL-10産生機構のその全貌は不明であった。申請者は、IL-10レポーターマウスを用いて、IgM+形質細胞がIL-10の主な産生源であることを見出した。また、B細胞におけるIl10の発現は形質細胞分化の必須分子であるBlimp1と強く相関し、遺伝子導入実験からBlimp1がIl10の発現を誘導することを明らかにした。また、IL-10産生性形質細胞は、B細胞が抗原刺激を受けた際にIgG+形質細胞へ分化する過程および抗原特異的IgGの産生をサポートする機能を持つことが示唆された。