著者
浦木 隆太
出版者
国立研究開発法人国立国際医療研究センター
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

持続感染から、慢性肝炎、さらには肝癌を引き起こすB型肝炎ウイルス(HBV)は、世界中で20億人にものぼる感染者がおり、公衆衛生上重要な感染症である。しかし、HBV持続感染が成立する機序や持続感染が維持される機序に関して、免疫学的に十分な解析は行われておらず、様々な課題が残されている。HBV持続感染時、宿主では抗ウイルス応答が活性化されていないことから、そのような応答を抑制する機序があると予測される。そこで、本研究課題では、免疫抑制能を有する制御性T細胞および制御性T細胞と相互作用する免疫細胞に焦点を当て、ウイルス学・免疫学的視点からHBV持続感染の成立および維持に重要な機序の解明を目指す。
著者
浦木 隆太 山吉 誠也 河岡 義裕
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.26, no.9, pp.9_79-9_86, 2021-09-01 (Released:2022-01-28)
参考文献数
40

新型コロナウイルスSARS-CoV-2の出現以降、このウイルスによる犠牲者を出来る限り抑制するために、我々は大きな制約を甘んじて受けながら生活している。様々な分野の研究者が一丸となって、ウイルス制圧に向けた研究を行っている。積極的疫学調査の成果から、3密(密閉、密集、密接)の回避を周知することで、感染爆発を未然に防ぐことに成功した。また、ワクチン開発では、国外の製薬会社の貢献により、1年という驚異的なスピードで実用化に至った。 本稿では、SARS-CoV-2がどのような特徴を持ち、どのように人の体内で増殖するか、そして感染した人で起こる免疫応答について、これまで明らかとなった知見を紹介したい。また、人での流行に伴い、様々なアミノ酸変異を持った変異ウイルスが世界中で報告されているが、その中でも特に注目されている変異ウイルスと共に、それら変異ウイルスに対するワクチンの有効性についても紹介したい。
著者
山崎 小百合 今井 優樹 的場 拓磨 志馬 寛明 浦木 隆太
出版者
名古屋市立大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2019-10-07

自己免疫疾患は超高齢化社会の日本と世界の先進国で増加している。自己免疫疾患の発症や増悪は病巣感染で誘因されることが知られている。高齢者でも安心に使用できる治療法の開発のため、詳細な機序の解明が急務である。これまでの研究成果を発展させて超高齢化社会で問題となる病巣感染の病態メカニズムに迫り、高齢者でも安心な合併症の少ない治療法の開発への貢献を目指す。