著者
枝川 明敬 山本 眞一 小林 信一 加藤 毅 吉川 裕美子 柿沼 澄男
出版者
学術情報センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

学術研究の総合的推進のための重要な柱の1つである若手研究者の養成に関しては平成8年7月の科学技術基本計画における「ポストドクター等一万人支援計画」の閣議決定以降、着実に各省庁で施策の充実が図られており、平成11年度には1万人に達した。このため、この計画による若手研究者の養成の実績やその後の活動状況を検証し、大学院の拡充計画をも視野に入れた今後の長期的展望に立った量的・質的側面の両面を考慮した新たな若手研究者の育成・確保の在り方について研究を行った。本年度においては、昨年度に引き続き、以下の項目について調査・分析を行った。1)日本学術振興会特別研究員制度等の実態と効果に関する調査・分析2)将来の研究者需要に関する調査・分析3)全国の大学研究者に対するポスドクの研究評価及びポスドクの研究環境に関する調査・分析より具体的には、1)については対象者数5,500余社の特別研究員に対し、現在の研究環境を始め、当該人の処遇や勤務先・職場・キャリアパスについてはアンケート調査を行った結果をもとに、その更なる分析を行った結果現在の研究者としてのキャリアパスに少なからず特別研究員の経歴が役立っていることが知れた。一方、2)については、博士課程修了者等を雇用することが予想される企業に2,500余社に対しアンケート調査を行った結果を元にその更なる分析を行った。その結果、以前行った調査(「大学院の量的整備に関する調査研究」1,998)において予想された研究者需給見込みを大幅に変更する必要はなく、その後の経済状況を勘案しても一部に需給バランスが崩れることがあるもののおおよそ釣り合っていることが知れた。また、3)については、今年度初めて調査を行い、大学研究者から5,000名を抽出し、ポスドクへの評価やポスドクを巡る研究環境を聞いた結果、研究環境はかなり恵まれているものの、本人が評価している程には、指導研究者のポスドクへの評価は高くなかったが、概ね、助手クラスの研究活動の同等との評価が大勢であった。