著者
加藤 毅
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

我が国の大学のマネジメント現場では、問題解決に向けてIRを起点とする多くのプロジェクトが実施され、成果をあげている。そこでのマネジメントスタイルについて調査したところ、 PMBOK型とは対称的な「弱い計画性」「無期限性」「目的の創発性」「通常業務との融合」などの特性が観察された。通常業務の直接延長線上でプロジェクトも担うという働き方は、わが国のホワイトカラー総合職のスタイルに非常に近いものである。先行するそこでの関連研究の成果を参考として、プロジェクトを中核として構成されているわが国の大学職員の職務特性や育成環境を分析するための枠組みを構築し、定量調査を通じてその実態について明らかにした。
著者
金子 元久 矢野 眞和 小林 雅之 藤村 正司 小方 直幸 山本 清 濱中 淳子 阿曽沼 明裕 矢野 眞和 小林 雅之 濱中 淳子 小方 直幸 濱中 義隆 大多和 直樹 阿曽沼 明裕 両角 亜希子 佐藤 香 島 一則 橋本 鉱市 苑 復傑 藤墳 智一 藤原 正司 伊藤 彰浩 米澤 彰純 浦田 広朗 加藤 毅 吉川 裕美子 中村 高康 山本 清
出版者
東京大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2005

本研究は、1)日本の高等教育についての基礎的なデータを大規模調査によって蓄積し、その分析をおこない、2)それをもとに各国の高等教育との比較分析を行うとともに、3)その基礎にたって、日本の高等教育の課題を明らかにすること、を目的とした。とくに大規模調査については、(1)高校生調査(高校3年生4000人を、その後5年間にわたり追跡)、(2)大学生調査(127大学、約4万8千人の大学生について学習行動を調査)、(3)社会人調査(9千事業所、2万5千人に大学教育の経験、評価を調査)、(4)大学教員調査(回答者数約5千人)、(5)大学職員調査(回答者数、約6千人)、を行い、それをデータベース化した。
著者
伊藤 寿宏 押木 守 小林 直央 加藤 毅 瀬川 高弘 幡本 将史 山口 隆司 原田 秀樹 北島 正章 岡部 聡 佐野 大輔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.III_305-III_313, 2016 (Released:2017-04-03)
参考文献数
25

本研究では、流入下水中のヒト腸管系ウイルス濃度分布、及びWHOが推奨する許容年間疾病負荷(10-6 disability-adjusted life years per person per year)に基づいて、定量的微生物リスク評価(quantitative microbial risk assessment: QMRA)の手法を用いて下水再生水の利用用途ごとにウイルス除去効率の目標値を算出する手法を構築・提案する。代表的なヒト腸管系ウイルスとしてノロウイルスに着目し、流入下水中のノロウイルス濃度モニタリングデータを使用することで、6種類の下水再生水利用シナリオにおけるノロウイルスの下水再生水中許容濃度及び除去効率の目標値を試算した。本研究で提案した方法により算出したヒト腸管系ウイルス除去効率目標値を使用する際には、下水再生システム稼動後においても未処理下水中のヒト腸管系ウイルス濃度をモニタリングすることが求められる。また、用量反応モデル情報の更新と、下水再生利用が行われる地域の状況に基づいた曝露シナリオとパラメータの更新についても継続して取り組むことが重要である。
著者
加藤 毅
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度は、昨年度に引きつづき、人的資源管理論や大学マネジメント、大学職員論をめぐる新動向や政策展開などに関する先行研究や文献等のレビューを継続実施すると共に、優れたマネジメントを実践している大学役職員を対象とするインテンシブなインタビュー調査を継続実施した。初年度に実施したアンケート調査と継続的に実施しているインタビュー調査を通じて得られたデータを分析することにより、 昨年度までの作業を通じて構築したホワイトカラー総合職モデルをベースとして、大学職員の成長プロセスをモデル化するとともに、SDのあり方も含めて育成のための枠組みについて検討を行った。一般職員、初級管理職ともに、現状は定型作業と習熟業務のみで仕事のおよそ70%を占め、自身の知識やスキルとの比較で難度が高いと答えるものはわずか16%という低い水準にある。しかしながら、状況に甘んじることなく仕事の質を高めようと努力する者も一定割合存在する。そこで行われているのが、①業務改善行動、②IR活動、そして③人間関係構築である(中分類)。さらにその延長線上に、高度の仕事(プロジェクト)を自らの手で作り出すという可能性も開かれている。我が国の大学職員には、ルーティンワークに埋もれることなく、自身の努力と成果次第でさらなる成長にむけて前進する道が開かれており、多くのハイパフォーマーはこの道を通って生まれてきているのである。さらに、そこで実現している高度業務について、①タスク完結性の高い課題選択、②技能多様性の高い業務デザイン、そして③リーダーシップの高度化、という三つの次元から構成される構造モデルを構築した。さらに、これらのモデルの妥当性を検証すると同時に発展的なインプリケーションを得ることを目的として、新規アンケート調査の設計作業に着手した。
著者
小林 信一 加藤 毅
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本研究は、平成7年6月に実施した大学教員の生活時間調査の再分析により大学教員の置かれている状況を時間資源の観点から多角的に明かにするとともに、研究活動の編成様式との関連の理論的検討を行うものである。1.生活時間分析大学教員の活動の実態をさまざまな属性別に分析し、中でも研究時間の不足感が強い国立有力大学について詳細に分析した。また、大学改革と生活時間の関係に関して分析を行い、会議時間に対する負担感が実態以上に大きいこと、時間の寸断など時間の質の低下などが発生していることを明かにした。さらに管理的職務の実態について分析を行った。これらの分析結果を、大学教員の仕事の質、大学教員の多忙と教育研究の支援体制、時間からみた大学教員の学術研究環境、管理的業務に関する分析の各項目についてとりまとめた。また、大学研究者に関する国際的統計の根本問題であるFTEをめぐる問題についても検討した。2.研究活動の編成様式の理論的検討科学技術のモード論を参照しつつ、科学技術論のレベルで大学教員の多忙の原因について検討を行った。知識生産の様式として、ピアレビュー・システム、インハウス・システム、オ-ディション・システムの3タイプが存在することを明かにした。とくにモード2の出現にともなうオ-ディション・システムの浸透、また多様な研究様式が並存することが、大学教員の多忙の原因になることを示した。3.とりまとめ以上の結果を内外の学会で口頭発表するとともに、論文などにまとめ、さらに報告書にとりまとめた。
著者
加藤 毅
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:13440063)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.61-79, 2010

<p> 大学を取り巻く経営環境の悪化や,求められる経営の質の高度化・複雑化を受けて,大学職員に対する期待や要求が高まりつつある.断絶的ともいえる大きな改革を実現するための有効な手段となることが期待されるSD に関して,過去十数年間の間にさまざまな議論が蓄積されてきた.そこで展開されるSD 論は,意欲ある大学職員を励まし,時には理論的支柱となり,あるいは旺盛な学習意欲を受け止めるという重要な機能を果たしてきた.同時に,SD の必要性に関する社会的認知も高まり,SD 論に対して,個別性の高い具体の問題状況に応えることが求められるようになりつつある.</p><p> ところが現実には,現時点においてSD は,大学経営の効率化や高度化という目的を達成するための,可能性を有する手段の一つに過ぎない.そのため,本来であればSD の有効性に関する説得的な議論や,質の高い職員を効率的に養成するためのSD の在り方の解明がすすめられるべきところ,「権威主義的な考え方」のもとで,SD 論はこういった課題への取り組みをほとんど行ってきていない.最近になってようやく,大学院教育を含む研修全般について,業務実績と結びつけることの重要性が認知されるようになり,そのための方策が模索されはじめた.</p><p> 他方,これからのSD の在り方を考える上で必須と考えられる現状の理解水準についても,十分とはいえない.例えば,大学経営の現場では,従来型業務の効率化や高度化は依然として大きな課題として残されており,これに加えて,問題発見や課題解決などの業務に対応するための新たな取り組みが求められつつある.正反対の性質を持った2つの要求の板挟みにあい,大学職員は引き裂かれつつある.この重要な動向についても,従来のSD 論ではほとんど理解されていない.</p><p> このような問題状況の中で,本研究では,我が国において実践されている先進的な研修の試みについて,インテンシブな調査および分析を行った.その結果,業務と研修が一体化することにより,業務の効率化と高度化が同時に実現するとともに,担当者に求められる新しい実務能力も着実に向上する,という,SD における新たな構図(OJD<sup>2</sup>)の可能性を見いだした.そしてこの構図の延長上に,先進的な大学の現場で,業務プロセス全体が研修プログラムとして機能するというスタイルのマネジメントがすでに展開されていることを発見した.</p>
著者
加藤 毅
出版者
筑波大学大学研究センター
雑誌
大学研究 (ISSN:09160264)
巻号頁・発行日
no.41, pp.17-27, 2015-03
著者
松澤 知己 武井 渉 大町 真一郎 加藤 毅
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.13, pp.1-7, 2015-02-27

画像識別問題はコンピュータビジョン分野において中心的な課題の一つとして,多くの研究がなされてきた.画像識別においては SIFT などの局所記述子群から一つの特徴ベクトルをつくって統計的パターン認識の枠組みにあてはめる方法が定石となっている.中でも Bag-of-Visual-Words とフィッシャーベクトルが最も成功している.それらの符号化法に対し武井らは局所記述子の分布形状を考慮してマハラノビス計量を導入することが有効であることを示した.彼らの方法は記述子の空間全体で同一の計量を用いていたが,本発表では武井らの符号化を一般化して局所ごとに異なる非一様な計量を許すような符号化法を提案する.
著者
河野 裕彦 菱川 明栄 小関 史朗 加藤 毅 菅野 学 伏谷 瑞穂 松田 晃考
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

電子・原子核波束計算法を用いて,COやN2のレーザー場中の多電子ダイナミクスやアト秒パルスを発生する高次高調波のレーザー制御法を提案した。また,実験グループは,理論の予想通りCO2の等価な2つのC-O結合の一方だけを2色レーザーパルスの形状によって選択的に切断させることに成功し,化学反応制御の新たな可能性を示した。さらに,反応動力学計算を用いて,XFELによる多価カチオン生成とそのクーロン爆発を使った時間分解分子イメージングに対するシミュレーション法を確立して,ヨードウラシルなどに適用した。そのほか,分子ベアリングやDNA鎖切断の実時間シミュレーションを行い,それらの動力学を明らかにした。
著者
加藤 毅
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.281-295, 1992-10-15

公的セクターが行う研究助成の代表的存在である文部省科研費は、規模では民間助成財団による研究助成を圧倒する。しかしながら助成財団は、「ノンプロフィットセクター」としての特性を生かすことで、助成の性格や助成対象などの点で科研費の持つ短所を補うべく、助成を行うことができる筈である。そこで本論文では、民間助成受領研究者の属性として、所属する大学、研究分野、職階および科研費受領状況という4項目のデータに基づき、特に科研費受領パターンとの対比において、民間助成の配分状況についての実証的分析を行った。結果の概要は次の通りである。民間助成は、助成件数、助成金額共に科研費と比べて極めて小さい規模にとどまっている。ノンプロフィットセクターとしての特徴を十分に生かすためにも、何より助成規模の量的拡大が今後の最大の課題である。民間助成は、科研費と同様、件数、金額共に、大学では旧帝大グループ、分野では自然科学、特に理学や医学分野に対して重点的に配分されている。また、職階では、特に医学分野などで教授に偏った配分が行われている。全般的な傾向としては、民間助成は科研費受領者に対して重点的に助成を行っており、特に自然科学分野では、科研費の補助的役割、それも量的には科研費の十分の一程度の追加的補助にとどまっているのである。しかしながら、民間助成全体の中では少数派である私立大学や人文社会科学分野の若手を対象とする助成では、科研費の受領経験を持たない研究者に対する配分も少なからず行われている。また、科研費受領者を避けるような助成配分も、リスクの小さいうちは、積極的に行われている。今後の課題としては、配分された助成の結果だけではなく審査、選考課程をとりあげ政策的観点からの検討を行うことや、助成終了後の研究成果に対する評価方法を確立することなどがあげられる。
著者
枝川 明敬 山本 眞一 小林 信一 加藤 毅 吉川 裕美子 柿沼 澄男
出版者
学術情報センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

学術研究の総合的推進のための重要な柱の1つである若手研究者の養成に関しては平成8年7月の科学技術基本計画における「ポストドクター等一万人支援計画」の閣議決定以降、着実に各省庁で施策の充実が図られており、平成11年度には1万人に達した。このため、この計画による若手研究者の養成の実績やその後の活動状況を検証し、大学院の拡充計画をも視野に入れた今後の長期的展望に立った量的・質的側面の両面を考慮した新たな若手研究者の育成・確保の在り方について研究を行った。本年度においては、昨年度に引き続き、以下の項目について調査・分析を行った。1)日本学術振興会特別研究員制度等の実態と効果に関する調査・分析2)将来の研究者需要に関する調査・分析3)全国の大学研究者に対するポスドクの研究評価及びポスドクの研究環境に関する調査・分析より具体的には、1)については対象者数5,500余社の特別研究員に対し、現在の研究環境を始め、当該人の処遇や勤務先・職場・キャリアパスについてはアンケート調査を行った結果をもとに、その更なる分析を行った結果現在の研究者としてのキャリアパスに少なからず特別研究員の経歴が役立っていることが知れた。一方、2)については、博士課程修了者等を雇用することが予想される企業に2,500余社に対しアンケート調査を行った結果を元にその更なる分析を行った。その結果、以前行った調査(「大学院の量的整備に関する調査研究」1,998)において予想された研究者需給見込みを大幅に変更する必要はなく、その後の経済状況を勘案しても一部に需給バランスが崩れることがあるもののおおよそ釣り合っていることが知れた。また、3)については、今年度初めて調査を行い、大学研究者から5,000名を抽出し、ポスドクへの評価やポスドクを巡る研究環境を聞いた結果、研究環境はかなり恵まれているものの、本人が評価している程には、指導研究者のポスドクへの評価は高くなかったが、概ね、助手クラスの研究活動の同等との評価が大勢であった。