著者
柴 一実
出版者
広島大学大学院教育学研究科初等カリキュラム開発講座
雑誌
初等教育カリキュラム研究 (ISSN:21876800)
巻号頁・発行日
no.1, pp.9-20, 2013-03-31

1946(昭和21)年,原爆によって廃墟と化した広島において,子ども向け雑誌『銀の鈴』が広島図書より発行された。1950(昭和25)年発行の高学年用『銀の鈴・4年生』と『銀の鈴・5年生』の「りかのかんさつ・やっかいな虫」「理科図鑑一害虫をふせぐには」「りかのかんさつ・夏の星座」「夏の星座(図版)」「理科と実験・たべものと私たちのからだ」について分析したところ,これらの内容は文部省著作教科書『小学生の科学』(1949)や検定教科書『よいこのかがく』(1951)と関連づけられていることが分かった。中には,両者の教科書で指定されている学年を繰り上げて,『銀の鈴』の内容が取り上げられていたり,教科書にはない簡易実験が取り上げられている。戦後の児童用教育出版物の乏しい時代にあって,雑誌『銀の鈴』は発行期間がわずか8年間ではあったが,科学読み物として子どもを自然の世界へと誘う役割を果たしていたと考えられる。
著者
寺内 大輔 明道 春奈
出版者
広島大学大学院教育学研究科初等カリキュラム開発講座
雑誌
初等教育カリキュラム研究 (ISSN:21876800)
巻号頁・発行日
no.2, pp.35-48, 2014-03-31

小学校現場において,子ども達は,音楽科の授業はもちろんのこと,「朝の会」や行事等,様々な機会に歌を歌う。その際に伴奏楽器として用いられる楽器は,ピアノ,キーボード,ギターなどがあるが,これらの楽器を苦手とする教員は少なくない。そこで,筆者らは,楽器の技術の乏しい教師が伴奏を簡単にできるようになるために,コードネームに基づく伴奏を前提に,ギターを変則チューニングに設定する手立てに着目した。先行実践を参考に,将来教員を志望する学生4名(いずれもギター未経験者)を対象とした簡易伴奏法の指導を行った。本論文では,その経過と成果・課題を振り返り,教員養成課程の指導内容のひとつとして変則チューニングによるギターの伴奏を取り入れることの可能性と課題を明らかにした。