著者
橋本 和明 福島 裕 斎藤 文男 和田 一丸
出版者
弘前大学医学部・弘前医学会
雑誌
弘前医学 (ISSN:04391721)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.147-152, 1989-06

死亡時年齢が満16歳以上のてんかん患者38例(男24例,女14例)を対象として,その死亡・死因について検討した.死因を発作と直接関係のある群(A群),発作と直接関係のない群(B群),詳細不明のもの(C群)に分類すると,各々11例,19例,8例であった.発病から死亡までの期間は,それぞれ7.3年,14.1年,16.5年とA群で有意に短かった.A群のうち溺死が6例と最も多く,その死亡は日常生活の中で起こっており,生活指導の重要性が示唆された.自殺が4例(11%)を占め,いずれも精神障害を合併し発作も抑制されておらず,治療に際しては,発作のコントロールとともに心理的・社会的関わりが必要と思われた.全症例中,発作が抑制されていたものは6例(16%)のみで,発作を有するものに死亡が多くみられるといってよいと思われた.