著者
中﨑 寿隆 中野 さつき 瀧澤 有珠 水野 風音 本田 美紗 佐々木 悟郎 小橋 優子 福島 裕之
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.142-146, 2020 (Released:2020-12-26)
参考文献数
10

ステロイド薬を含む治療を行っていた川崎病患者が,ステロイド薬の中止直後に股関節と膝関節の痛みにより歩行できなくなった.MRIにより,両側股関節に炎症が存在することに加え,大腿骨頭壊死を認めないこと,化膿性股関節炎の可能性が低いことが明らかとなり,安全にステロイド薬を再開することができた.ステロイド薬の再開により関節症状は速やかに軽快した.ステロイド薬の中止後6か月で再検したMRIでは関節炎の改善が確認され,若年性特発性関節炎などの慢性炎症性疾患は否定的であり,本例の関節炎は川崎病の随伴症状であったと判断した.急性期と回復期のMRIは川崎病患者に生じた関節炎の原因診断と治療方針の決定に有用であると思われる.
著者
福島 裕助 中村 晋一郎 藤吉 臨
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.432-436, 2001-09-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
10
被引用文献数
1

スクミリンゴガイ生息田への野菜投入によるイネ苗の被害回避の可能性を探ることを目的として, 水槽内で野菜に対するスクミリンゴガイの選好性と摂餌行動を明らかにした.水槽内で, イネ苗と数種の野菜を同時に与えると, イネ苗よりもメロン, スイカ, レタス, ナスおよびトマトに対する貝の付着頭数または被摂食量が多かった.また, 付着頭数と野菜の被摂食量との間には正の相関関係が認められた.このことから, スクミリンゴガイは, これらの野菜に対する選好性が高いと判断された.選好性の高かったメロンとナス, 選好性の低かったイネ苗とタマネギを同時に与えて, スクミリンゴガイの摂餌行動を観察すると, 本貝は6時間以内に選好性の高い食餌を認識した.また, 選好性の低い食餌に一次付着した貝は, その後, 選好性の高い食餌へ移動した.さらに, 選好性の高かったメロンやナスへの付着時間はイネ苗よりも明らかに長かった.これらの結果から水田へ選好性の高いメロン, スイカ, レタスやナスを投入することによって, スクミリンゴガイによるイネの被害を回避できる可能性のあることが示唆された.
著者
福島 裕人 橋元 慶男
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.75-82, 2014-08-02 (Released:2017-07-21)

人がどのような種類の笑いを好んでいるかという,笑いの傾向を測定するための「笑いの態度尺度」の試作を行った。予備調査では大学生39人を対象に(1)積極的に相手を笑わせる,(2)積極的に自分が笑うことを好む,(3)人に合わせて愛想笑いをするという観点から質問項目を設定し,因子分析によって項目選定を行った。本調査では大学生119人を対象に予備調査で作成した項目を用い,傷つけ合い回避尺度と日本版GHQ精神健康調査票との関連を検討することで,本尺度の構成概念妥当性について検討した。その結果,3因子19項目が採用され,それぞれ「人の笑い話によく反応する」などの“受け身的笑い”因子,他者を積極的に笑わせようとする“積極的笑わせ”因子,「たいしておかしくもない冗談に笑顔で返す」などの“愛想笑い”因子と命名した。内的信頼性や構成概念妥当性の検討では,概ね良好な結果が得られたと考えられた。しかしまだまだ不十分な点も多く,今後更に精度を高めていくことが期待される。
著者
橋本 和明 福島 裕 斎藤 文男 和田 一丸
出版者
弘前大学医学部・弘前医学会
雑誌
弘前医学 (ISSN:04391721)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.147-152, 1989-06

死亡時年齢が満16歳以上のてんかん患者38例(男24例,女14例)を対象として,その死亡・死因について検討した.死因を発作と直接関係のある群(A群),発作と直接関係のない群(B群),詳細不明のもの(C群)に分類すると,各々11例,19例,8例であった.発病から死亡までの期間は,それぞれ7.3年,14.1年,16.5年とA群で有意に短かった.A群のうち溺死が6例と最も多く,その死亡は日常生活の中で起こっており,生活指導の重要性が示唆された.自殺が4例(11%)を占め,いずれも精神障害を合併し発作も抑制されておらず,治療に際しては,発作のコントロールとともに心理的・社会的関わりが必要と思われた.全症例中,発作が抑制されていたものは6例(16%)のみで,発作を有するものに死亡が多くみられるといってよいと思われた.
著者
野村 亮太 石田 聖子 福島 裕人 森田 亜矢子 松阪 崇久 白井 真理子
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.111-114, 2022 (Released:2023-02-27)

笑いに関する研究は世界中でおこなわれています。本欄では、英語で発表された笑い学の最近の研究成果を紹介しています。笑いに関する研究は、医学、心理学、社会学、哲学、文学、言語学、動物行動学など、多様な学問領域の専門雑誌に掲載されています。幅広い分野で展開されている世界の研究動向について共有することで、国内での笑い学の研究がさらに発展することにつながればと考えています。 本号では計6本の研究論文についての紹介記事を掲載することになりました。記事の執筆には、6名の研究者にご協力いただきました。どうもありがとうございました。
著者
福島 裕助 中村 晋一郎 藤吉 臨
出版者
日本作物學會
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.432-436, 2001 (Released:2011-03-05)

スクミリンゴガイ生息田への野菜投入によるイネ苗の被害回避の可能性を探ることを目的として、水槽内で野菜に対するスクミリンゴガイの選好性と摂餌行動を明らかにした。水槽内で、イネ苗と数種の野菜を同時に与えると、イネ苗よりもメロン、スイカ、レタス、ナスおよびトマトに対する貝の付着頭数または被摂食量が多かった。また、付着頭数と野菜の被摂食量との間には正の相関関係が認められた。このことから、スクミリンゴガイは、これらの野菜に対する選好性が高いと判断された。選好性の高かったメロンとナス、選好性の低かったイネ苗とタマネギを同時に与えて、スクミリンゴガイの摂餌行動を観察すると、本貝は6時間以内に選好性の高い食餌を認識した。また、選好性の低い食餌に一次付着した貝は、その後、選好性の高い食餌へ移動した。さらに、選好性の高かったメロンやナスへの付着時間はイネ苗よりも明らかに長かった。これらの結果から水田へ選好性の高いメロン、スイカ、レタスやナスを投入することによって、スクミリンゴガイによるイネの被害を回避できる可能性のあることが示唆された。
著者
袴田 勝弘 中田 典男 向井 俊博 福島 裕和 山口 良 仲田 智史
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.68, pp.8-13, 1988-12-01 (Released:2009-07-31)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

嫌気処理緑茶(ギャバロン)の香味改善を図るため,嫌気処理条件(温度:10,20,30℃;時間:0~40時間)について検討した。(1)GABA含量はいずれの温度でも嫌気処理初期(1~5時間)に急増したが,その傾向は高温区ほど顕著で,30℃区で2時間,20℃区で5時間,10℃区で10時間で,それぞれの最高値の75%に達した。(2)嫌気処理時間が長くなるほど,高温区ほど品質が低下した。嫌気処理によるいやみ臭は,10℃区で30時間,20℃区では15時間,30℃区では5時間以上で特に強くなった。(3)品質をできるだけそこなわずGABA含量を高める嫌気処理条件は,10℃で15~20時間,20℃で5~10時間,30℃で2時間と推定された。(4)品質低下を防ぐため,嫌気処理後できるだけ早く殺青することが必要と考えられた。
著者
蛎崎 奈津子 安藤 明子 安藤 広子 角川 志穂 遊田 由希子 野口 恭子 福島 裕子 石井 トク
出版者
岩手県立大学看護学部
雑誌
岩手県立大学看護学部紀要 = Journal of the Faculty of Nursing, Iwate Prefectural University (ISSN:13449745)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.65-76, 2007-01-01
被引用文献数
1

本研究の目的は,ケアの受け手である妊産婦を対象に,私たち助産師に対する認知状況や役割期待を明らかにし,課題を把握することである.自記式質問紙調査票を用い,産後1か月健診を受診した褥婦959名を対象とした実態調査を行った.その結果378名(回収率39.4%)の回答を得,以下3点の課題が見いだされた.1.岩手県の地域特性については,義父母または実父母と同居している者は約3割ほどであるものの,親世代が同じ市町村,近隣の市町村など距離的に近い場所に居住して者の割合が高かった.通院に関しては,9割以上の者が自家用車を利用していた.所要時間の平均は34.1分であり,病院選択時に困惑した経験を持つ者は95名(25.1%)であった.2.助産師の認知状況については,90%以上の者が認知していた.しかし,「自分が出産した病院に『助産師』がいた」と回答した者に対し,その理由をたずねた結果では,「助産師から名乗りを受けた」と直接的に認知した者は3割にも満たず,多くは「名札をみた」,「掲示板をみた」など間接的な認知状況であった.業務内容の認知については「出産」,「産後の母子のケア」についての認知が高く,妊娠期~産褥期・新生児期に各時期における健康診断に関する項目の認知が低かった.3.助産師の役割期待として,妊娠期では「超音波写真など思い出品がほしい」,「児の世話についての指導」,「不安や訴えをゆっくり聞いてほしい」など,今後の助産師外来開設の広がりにより改善できる項目が多かった.分娩時には,「好きな姿勢で出産したい」,「自宅分娩をしたい」といった主体的な出産に対するケア内容よりも「いきみののがし方を教えてほしい」,「そばに付き添っていてほしい」といったスタンダードなケアを求める声が多かった.また産褥期には「児の健康状態の判断方法の説明」,「児の健診や予防接種に関する説明」,「母乳栄養支援」など退院後の生活を見通した支援内容の期待が高かった.A study was conducted to clarify the qualities recognized, and those expected, of a midwife using a questionnaire distributed to 959 women after childbirth in Iwate Prefecture. Responses were obtained from 378 of these women, and the data obtained revealed the following. 1. About 30% of the surveyed women were cohabiting with their parents, or living within a short distance from them. At least 90% of the women went regularly to hospital by car, taking an average of 34.1 minutes. Ninety-five (25.1%) of the women had a trouble when they chose the hospital. 2. At least 90% of the surveyed women recognized the role of a midwife, although the role was considered to be an indirect one by the majority. A high proportion of the women recognized that the midwife's role was valuable with regard to "Birth" and "Care after childbirth", whereas only a low proportion recognized a midwife's role in diagnosis. 3. With regard to expectations of a midwife, some items during the pregnancy period were considered to have been enhanced by the midwife's care. A large proportion of women requested the need for set standards of care at the time of delivery. After childbirth, many aspects of after-care after discharge from hospital were considered to require midwife support.
著者
前田 潤 安田 幹 小柳 喬幸 柴田 映道 河野 一樹 古道 一樹 福島 裕之 山岸 敬幸
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
日本小児循環器学会雑誌 (ISSN:09111794)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.186-191, 2012 (Released:2012-11-26)
参考文献数
16

Fontan型手術後遠隔期の合併症である蛋白漏出性胃腸症(PLE)は予後不良であり, その治療はいまだに確立されていない. 近年, 肺血管拡張薬であるsildenafil(SIL)がPLEを改善させるという報告が散見される. 今回Fontan型手術(TCPC)後にPLEを発症し, SIL投与により症状の改善を得た3症例を経験した. 【症例1】単心室の21歳, 男性. TCPC6年後にPLE発症. SIL 30 mg/日内服を開始, 40 mg/日まで増量し, 浮腫が軽快. 【症例2】単心室, 左肺動静脈瘻の17歳, 男性. TCPC2年後にPLE発症. SIL 1 mg/kg/日内服を開始, 4 mg/kg/日まで増量し, 浮腫, チアノーゼが改善. 【症例3】両大血管右室起始の12歳, 女児. TCPC1年後にPLE発症. steroid不応性であり, SIL 0.5 mg/kg/日内服を開始, 8 mg/kg/日まで増量し, 腹水が改善. 3症例ともSILの副作用は認められなかった. SILはPLEに対する安全な治療薬で, 用量依存性に効果を示す症例もあることが示唆された.