著者
谷口 貴穂 赤松 利恵
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.24-33, 2009 (Released:2010-06-04)
参考文献数
25
被引用文献数
3

目的:「もったいない」と思う気持ち(食べ物を捨てるときに感じる気持ち)を食事摂取に関わる要因として加え,食べ残しの行動の予測要因を検討すること.方法:都内の公立小学校の5・6年生の児童2,070人を対象に,自記式の質問紙に基づく横断調査を実施した.食べ残しの行動の予測要因として,「もったいない」と思う気持ちと,食べ残しの多い野菜摂取に関わる要因(嗜好,結果期待,学校菜園活動,家庭のしつけ)や,野菜を食べる頻度と食べ残しの行動との関連を調べた.性別で野菜摂取に関わる要因が異なることから,男女別で食べ残しの行動の予測要因を検討した.結果:1,994人から回答を得た.女子よりも男子の方が食べ残しの行動をしないと回答した.食べ残しの行動の予測要因は男女で異なったが,食べ残しの行動に最も影響を与えていたのは,男女とも野菜の嗜好で,次が「もったいない」と思う気持ちであった.結論:「もったいない」と思う気持ちは,食べ残しの予測要因となり,2番目に強く食べ残しの行動に影響を与えていた.食べ残しの行動に最も影響を与えていたのは,野菜の嗜好であった,これらのことから,「もったいない」と思う気持ちを育てること,野菜の嗜好を変えることにより,食べ残しが減ると考えられた.