著者
菊地 俊夫
出版者
東京都立大学大学院都市環境科学研究科観光科学域
雑誌
観光科学研究 = The International Journal of Tourism Science (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.14, pp.9-16, 2021-03-15

摘要 観光地誌学を学ぶことで,身近な地域の生活や文化,あるいは世界の異なる生活や文化を総合的に理解できるようになる。そして,総合的に地域や世界の様相を理解することは,さまざまな視点に立った見方や考え方を身につけることにもなる。このように,地域や世界をさまざまな視点から見たり考えたりすることは,複雑化した現代社会において,地域や世界のさまざまな課題を解決するための方法を見出すことに役立つ。現代社会においては,「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」として国際社会共通の目標が17ある。それら1つ1つの目標に関する課題の発見と解決に観光地誌学の見方・考え方は間違いなく役立つ。
著者
飯塚 遼 矢ケ﨑 太洋 菊地 俊夫
出版者
東京都立大学大学院都市環境科学研究科観光科学域
雑誌
観光科学研究 = The International Journal of Tourism Science (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.14, pp.87-96, 2021-03-15

摘要 本研究はフランス・ノール県ダンケルク郡を事例としてビールツーリズムの展開にともなうロカリティの再編について考察することを目的としている。ダンケルク郡におけるビールツーリズムは農村景観や集落景観などの農村を構成する要素が観光資源となり,それらが観光プロモーションプログラムを通じて結合されることにより存立していた。また,ダンケルク郡におけるビールツーリズムの空間は,同様のプログラムが設定されているベルギー側のウェストフーク郡にまで広がりをみせていた。そこでは,両地域の文化の共通性が観光資源に内包されていた。いわば,ダンケルク郡でフランスという国家的枠組に組み込まれたことで失われつつあったフランデレンのロカリティが,ビールツーリズムを通じて回復されていた。
著者
齋藤 竜太
出版者
東京都立大学大学院都市環境科学研究科観光科学域
雑誌
観光科学研究 = The International Journal of Tourism Science (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.14, pp.43-50, 2021-03-15

摘要 地理学を志すきっかけと,東京都立大学地理学科で学んだことを振り返るとともに,高等学校地理教科書の編集という仕事のなかで実際に行った地域調査の事例と,その際に製作した主題図を紹介する。具体的には,2000年度の卒業論文における地域調査の事例,および,2009年(平成21年)に告示された高等学校の学習指導要領のもとで発行した,2冊の地理A教科書に掲載した4つの地域調査事例をもとに,地域調査における地図制作の手法と,地域資源の発掘方法の変遷について考察している。これらの事例をもとに,地理教育における地域調査により,地域資源を発掘する経験がもたらす教育的な効果について,GISなどの技術的な進歩も踏まえて展望を記した。