著者
山口 亨 増田 士郎
出版者
東京都立科学技術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

近年、情報通信技術の急速な進展に伴い、情報インフラストラクチャ整備が進められている。しかし、膨大な情報量に対応する強力で拡張性の高い情報インフラ整備が進み、日々の生活でその恩恵を得る人が増える一方で、病院や家庭内の高齢者・機能障害者(以下、情報弱者と呼ぶ)に代表される、情報技術から疎外され、その恩恵を十分得られていない情報弱者と呼ばれる人々との格差が相対的に進んでいるのも現状である。少子高齢化社会への深刻な進展の中、こうした情報弱者は益々増加するという警鐘が鳴り響く。こうした社会的背景の中、情報バリアフリー・ナチュラルインターフェイスを備え人間を空間的にサポートする人間中心型都市空間の構築は急務である。本研究(人間安心化ネットワーク形成機構と人間性志向分散感覚知能システム)では、情報インフラの整備された都市空間に生活する情報弱者やその他の人々を支援する知的インターフェイスを想定する。情報弱者やその他の人々への日常時の物理的サポートを、携帯情報端末(PDA)による福祉情報や防犯情報の相互伝達と、オントロジー(人間同士のコミュニケーションに見られる共通基盤の工学的表現)を用いた人間意図の共有を可能にするネットワークインテリジェンスにより行い、防犯サイバー都市の実現、更に、福祉防犯PDAを利用したサイバー都市との連携による安全なヒューマン連携型モビリティシステムの実現を目指す。この際、以下の1)、2)、3)について実現し、さらには、1)、2)、3)を統合した全体システムの構築の研究を進めてきた。1)都市情報をPDAにより集め再構成するサイバー都市と情報再構成機構の研究2)構成により得た情報をナチュラルに利用者へ伝える情報バリアフリー・ナチュラルインターフェイスの研究3)再構成情報を用い、利用者を安全に誘導する人間中心型ヒューメインビークルの研究以上の課題の実施により、人間安心化ネットワーク形成機構と人間性志向分散感覚知能システムの実現の成果を得た。
著者
湯浅 三郎 後藤 登 磯田 浩
出版者
東京都立科学技術大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

火星大気主成分のCO_2を酸化剤・作動流体としMgやAlを燃料とする火星用ジェットエンジン燃焼器開発の基礎データを得るために、低圧CO_2雰囲気下でのMgとAlの着火・燃焼過程を調べ、以下の成果を得た。(1)8Kpa程度の低い圧力のCO_2中でもAlやMgは着火・燃焼することが出来る。(2)初期反応膜を有しないAlが自発着火するか否かは、着火初期過程での反応膜形成の有無によって決まる。その形成は表面からのAl蒸気の無次元吹出し速度によって支配され、それが臨界速度を越えたときに着火が起こる。(3)Alの自発着火温度は約1550〜2000℃の範囲にあり、CO_2の雰囲気圧力や淀み流流速が低くなるにつれて低下する。(4)Alの燃焼過程は圧力によって変わらず、凝縮したAl_2O_3とCOとを形成するAl蒸気の一様な拡散火炎を伴って燃焼する。(5)Mgの着火は、反応速度支配の表面反応過程で最初に形成される薄い保護的な表面膜が破れた後、CO_2拡散によって支配される気相反応過程が活発になることによって起こる。(6)Mgの自発着火温度は約800〜900℃の範囲にあるが、雰囲気圧力が下がるとともに低下し、淀み流流速には殆ど影響されない。(7)Mgは、凝縮したMgOとCOとを形成するMg蒸気の拡散火炎によって燃焼する。しかしAlとは異なってCOが液体Mgと反応できるため、MgOと炭素からなる表面膜も同時に生成され、この膜の作用によって燃焼は間欠・局所的に起こる。(8)Mgを火星用ジェットエンジンに使用する場合には、表面反応膜の形成による燃焼速度の低下を防止するため、Mgは極超微粒子か蒸気の形で供給する必要がある。