著者
永井 多賀子 鶴崎 翠子 洞口 敬 上井 浩 長岡 正宏
出版者
東日本整形災害外科学会
雑誌
東日本整形災害外科学会雑誌 (ISSN:13427784)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1-5, 2020 (Released:2020-04-29)
参考文献数
16

大腿骨近位部骨折患者では約60%が栄養障害にあり,術後合併症や死亡率上昇に寄与している.そこで大腿骨近位部骨折患者の栄養評価と筋力およびADLの関連について検証した.栄養状態リスクのある患者はリスクのない患者より退院時ADLが有意に低く,筋力がADL獲得に影響していた.栄養状態リスクがある場合は運動療法と並行して術前から適切な栄養管理を行うことで機能的予後を改善できる可能性が示された.
著者
若林 玲奈 宮腰 尚久 土江 博幸 永澤 博幸 島田 洋一
出版者
東日本整形災害外科学会
雑誌
東日本整形災害外科学会雑誌 (ISSN:13427784)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.483-486, 2019 (Released:2020-01-29)
参考文献数
14

BCG接種後の副反応に関してはさまざまな報告がある.今回BCG接種後に右肋骨骨髄炎を生じた症例を報告する.症例は1歳9ヵ月,男児.生後5ヵ月でBCGを接種し,1歳8ヵ月で右前胸部の腫瘤を触知した.切開生検による病理組織学的検査にて,乾酪壊死と多核巨細胞の出現を伴う類上皮細胞肉芽腫を認め,BCG接種後骨髄炎と診断した.イソニアジドとリファンピシンを内服することにより治癒している.
著者
秋葉 絢子 浅野 尚文 大喜多 肇 中山 ロバート 中村 雅也 松本 守雄
出版者
東日本整形災害外科学会
雑誌
東日本整形災害外科学会雑誌 (ISSN:13427784)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.159-166, 2020 (Released:2020-04-29)
参考文献数
22

若年成人の大腿部筋内に発生したきわめてまれな類血管腫型線維性組織球腫の1例を経験した.切開生検において明らかな腫瘍細胞を認めず,血腫などの良性嚢胞性疾患との鑑別が大きな問題となった.臨床および画像所見から,類血管腫型線維性組織球腫などの腫瘍が否定できなかったため,広範切除を行い,最終的に類血管腫型線維性組織球腫と診断した.
著者
大山 和生 田中 利和 神山 翔 和田 大志 野内 隆治 落合 直之
出版者
東日本整形災害外科学会
雑誌
東日本整形災害外科学会雑誌 (ISSN:13427784)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.192-195, 2018 (Released:2018-09-08)
参考文献数
13

われわれはトリアムシノロンアセトニド腱鞘内注射により生じた長母指屈筋腱断裂の1例を経験し,その病理学的検討を行った.断裂した腱は先細りし,もろく変化していた.組織変化としては腱組織の変性・線維化,腱内部の白色沈殿物とその周囲の肉芽組織,腱内血管の変性ならびに血栓形成などが確認できた.これらは長期的かつ頻回に投与され,正常腱細胞がアポトーシスをきたしたため起こったものと思われた.
著者
亀山 啓吾 若生 政憲 波呂 浩孝
出版者
東日本整形災害外科学会
雑誌
東日本整形災害外科学会雑誌 (ISSN:13427784)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.479-482, 2021 (Released:2021-12-21)
参考文献数
7

臼蓋形成不全が遺残する片側発育性股関節形成不全例における股関節周囲筋量の健患側差を比較することを目的とした.Salter手術を行った女児7例を対象として単純CTを用いて中殿筋,大殿筋,腸腰筋,ハムストリングスの筋断面積を計測し,健患側で比較した.いずれの筋においても有意な健患側差は認めなかったが,患側の中殿筋,大殿筋で小さい傾向を認め,遺残性臼蓋形成不全と股関節周囲筋の関係性が示唆された.
著者
木城 智 植原 健二 皆川 直毅 大沼 弘幸 仁木 久照
出版者
東日本整形災害外科学会
雑誌
東日本整形災害外科学会雑誌 (ISSN:13427784)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.122-126, 2018 (Released:2018-06-29)
参考文献数
10

高齢者女性に急性発症した脛骨内側顆不全骨折4例について,共通する特徴を検討した.すべての症例における共通点は,高齢,女性,急性発症して,持続する強い膝関節痛,鵞足部の圧痛,単純 X線像で明らかな所見がないことであった.これらの項目は脛骨内側顆不全骨折の診断に有用であることが示唆された.高齢者女性に急性発症した膝関節痛では,不全骨折を考慮し,MRIや早期治療介入が必要である.
著者
小柳津 卓哉 坂井 顕一郎 新井 嘉容 大川 淳
出版者
東日本整形災害外科学会
雑誌
東日本整形災害外科学会雑誌 (ISSN:13427784)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.49-53, 2020 (Released:2020-04-29)
参考文献数
5

【目的】健常人24名の頚部伸展筋活動を表面筋電図で測定した.【方法】頭板状筋・僧帽筋を対象とし,頚椎後屈位,中間位,前屈位,頭部前方突出位(前方注視)における平均筋活動量と筋疲労を解析した.【結果】頭板状筋において平均筋活動量が前突位で有意に増加していた.僧帽筋の平均筋活動量と頭板状筋・僧帽筋の筋疲労は姿位による有意な変化を認めなかった.【結語】首下がり姿位からの水平視は頭板状筋の筋活動を要した.