著者
久木元 由紀子 藤重 仁子 外村 晴美 五十嵐 淳介 前田 薫
出版者
森ノ宮医療大学 紀要編集部会
雑誌
森ノ宮医療大学紀要 = Bulletin of Morinomiya University of Medical Sciences
巻号頁・発行日
no.13, pp.1-14, 2019-03-20

現在欧米で一般的に実践されている現代ヨガは、アーサナと呼ばれる身体的ポーズに力点をおいたもので、それに体の姿勢、呼吸法、そして瞑想を組み合わせた健康やフィットネスを目的とするエクササイズであり、また補完代替医療(Complementary and Alternative Medicine:CAM)の一療法とも位置づけされるのが一般的になっている。その医学的有効性についての期待も高まっていることから、本研究では、現代ヨガと補完医療における位置付けについて、心疾患・肥満・乳がんの医学的有効性について、エビデンスをレビューしたので紹介する。結果として、ヨガによって生活習慣を改善すると心疾患のリスク因子を低減できる可能性が高いこと、過体重者ではヨガの定期的な実施と体重増加の緩和が関連していること、乳がんサバイバーにおいて不安・うつ・QOLにおいて効果があることなどが示唆された。しかし、それらの効果が運動そのものによる効果なのかヨガに特異的な効果なのかについては明らかにされていないため、今後のさらなる検証を期待したい。
著者
松下 太
出版者
森ノ宮医療大学 紀要編集部会
雑誌
森ノ宮医療大学紀要 = Bulletin of Morinomiya University of Medical Sciences
巻号頁・発行日
vol.11, pp.25-32, 2017-03-20

認知症の症状は大きく分けて中核症状と周辺症状があり,認知症の人に対するリハビリテーションの目的は心理的安定や周辺症状の軽減である.認知症は進行性の疾患であるため,進行段階に応じたリハビリテーションが重要となる.軽度認知障害や認知症の初期段階では,認知症の予防的観点から運動療法や記憶トレーニングなど学習課題などが行われる.認知症の人に対してADL訓練を実施する場合は,手続き記憶を利用して行為そのものを意識させずに「できること」を引き出すことが重要となる.重度の認知症の人にはQOLの考え方が特別な意味を持ち,「微笑む能力」がQOLの指標となる. 認知症の人に対するリハビリテーションは,認知症の人の「その人らしさ」を最期まで尊重することが大切である.
著者
上田 喜敏
出版者
森ノ宮医療大学 紀要編集部会
雑誌
森ノ宮医療大学紀要 = Bulletin of Morinomiya University of Medical Sciences
巻号頁・発行日
vol.12, pp.13-20, 2018-03-20

この総説は、ヘルスケア部門の安全な介助方法を説明し、日本のヘルスケアワーカーの腰痛の現状と日本の腰痛対策指針を説明した。また著者が2011年に腰痛対策チェックリストを用いて介助場面別に腰痛原因を明らかにした調査結果で報告した。その結果6介助場面が危険であることが判明した。さらにISO技術委員会人間工学(TC159)は、手による持ち上げ重量制限を25kgとした。それにより他の産業が腰痛を減少させているが、ヘルスケア部門が減少していないことを報告した。また、ヨーロッパ各国でヘルスケア部門の腰痛改善を下に2012年に出版されたISO技術報告書について解説し、ヘルスケアワーカーの規格化が進められているISOの概要について説明した。