著者
藤山 あやか Ayaka Toyama
出版者
滋賀文教短期大学
雑誌
紀要 = BULLETIN OF SHIGA BUNKYO JUNIOR COLLEGE (ISSN:09126759)
巻号頁・発行日
no.24, pp.(63)-(69), 2022-03-22

ヒギンズ著の「コミュニティミュージック」から、英国におけるコミュニティミュージック成立の背景や発展、その概念と意義について整理した。コミュニティミュージックは人々の音楽体験の共有により創造される芸術表現の形であり、1960年代にコミュニティアート運動の一部として登場した。ヒギンズは、コミュニティミュージックを (1)コミュニティの音楽、(2)共同体の音楽制作、(3)音楽リーダーやファシリテーターと参加者が積極的に関わり合う音楽活動と特徴づけている。また、学校教育でのコミュニティミュージックの実践は学校と外部機関との音楽交流であり、地域社会とのパートナーシップによる音楽教育を行うために「音楽リーダーやファシリテーター」の重要性を強調している。本稿では、学校と地域を結ぶ教育プログラムの開発に向けて、ヒギンズの論考からコミュニティミュージックの教育的意義を明らかにしている。
著者
藤山 あやか Ayaka Toyama
出版者
滋賀文教短期大学
雑誌
滋賀文教短期大学紀要 (ISSN:09126759)
巻号頁・発行日
no.22, pp.29-38, 2020-03

ドイツ連邦共和国・ハンブルク州の基礎学校 "Glundschule" に導入されている器楽教育プロジェクト "Jedem Kind ein Instrument(どの子どもたちにも一つの楽器を)" (以下、 JeKi) について、その教育理念や概要を述べる。 現地調査(2019年3月, 同年9月)では、①ハンブルク州における JeKi の運用、②基礎学校3・4年生対象の授業見学、③ハンブルク教育省 JeKi 部門主任ガブリエラ・フスラーゲ氏および講師インタビューを行うことができた。当該プロジェクトの効果検証について、ドイツ連邦教育研究省よりストレス対応力と自己肯定感の向上が明らかにされており、特に教育環境に恵まれない、あるいは経済的に困難な家庭の子どもたちにおいて効果が高いことが示されている。これらの実態分析により、学校教育の枠組みで実施されている JeKi の取り組みから、多文化共生教育の実現を念頭に置いて展開されているカリキュラムや実際の授業展開および指導法の特質を見出し、わが国における器楽教育への適用の方向性について示唆を得る。
著者
神谷 昌史 戸塚 麻子 Masashi Kamiya Asako Totsuka
出版者
滋賀文教短期大学
雑誌
滋賀文教短期大学紀要 (ISSN:09126759)
巻号頁・発行日
no.22, pp.1-14, 2020-03

『興亜』は日中戦争下の華北において華北交通社員会が発行していた雑誌である。華北交通は一九三九年四月に設立された日本占領下華北の交通運輸会社であり、その社員会の機関誌である『興亜』は、華北交通という「国策会社」について理解する上で資するところが大きい。中国人に対する宣撫・宣伝についての記事や文学・文化関係記事など、多様な誌面構成となっており、社員達は使命感を駆り立てられたのである。本稿は創刊後一年の記事細目とともに、同誌について解題を試みる。
著者
神谷 昌史 Masashi Kamiya
出版者
滋賀文教短期大学
雑誌
滋賀文教短期大学紀要 (ISSN:09126759)
巻号頁・発行日
no.21, pp.1-21, 2019-03

『東亜新報』は一九三九年七月から一九四五年の日本の敗戦まで、中国北京などで発行されていた日本語新聞である。これまでまとまった研究が存在しない同紙について、編集局の主要人物に着目し、様々な史料を用いてその来歴などをとりまとめる。取り上げる関係者は、社長であった徳光衣城、「東亜新報の三羽ガラズ」と称された佐々木金之助・高木健夫・石川輝、論説委員であった高木冨五郎・長谷川光太郎、済南支社の編集局長・支社長を務めた竹内順三郎、外交部長や天津支社編集局長を歴任した栗原一夫の八名である。