著者
神谷 昌史 戸塚 麻子 Masashi Kamiya Asako Totsuka
出版者
滋賀文教短期大学
雑誌
滋賀文教短期大学紀要 (ISSN:09126759)
巻号頁・発行日
no.22, pp.1-14, 2020-03

『興亜』は日中戦争下の華北において華北交通社員会が発行していた雑誌である。華北交通は一九三九年四月に設立された日本占領下華北の交通運輸会社であり、その社員会の機関誌である『興亜』は、華北交通という「国策会社」について理解する上で資するところが大きい。中国人に対する宣撫・宣伝についての記事や文学・文化関係記事など、多様な誌面構成となっており、社員達は使命感を駆り立てられたのである。本稿は創刊後一年の記事細目とともに、同誌について解題を試みる。
著者
戸塚 麻子
出版者
常葉大学教育学部
雑誌
常葉大学教育学部紀要 = TOKOHA UNIVERSITY FACULTY OF EDUCATION RESEARCH REVIEW
巻号頁・発行日
no.38, pp.1-9, 2017-12-31

『東亜新報』は日本占領下の北京で一九三九年から一九四五年まで発行されていた日本語新聞である。北支軍と興亜院が出資する同盟通信社系の新聞であり、北京発行の唯一の日本語新聞として機能した。しかしながら、文芸・文化記事を見ると、時局と連動するような戦意高揚の記事と同時に、国策とは無関係の実にのんびりした記事も少なくない。また、しばしば日本の国策を批判的に見るような言説が紛れ込んでいるのを目にすることもできる。少なくとも太平洋戦争開戦前のこの時期においては、比較的自由な言説が許されていたように思われる 。本稿では、創刊期『東亜新報』の中から文芸・文化記事を中心に取り上げ、その内容紹介を試みたい。