- 出版者
- 群馬県林業試験場
- 雑誌
- 研究報告 (ISSN:09186115)
- 巻号頁・発行日
- no.4, pp.17-32, 1997-04
コナラ優良クローンについて腋芽培養による増殖を試みた。試験1.腋芽採取量 水差しした丸太(直径2~7cm、長さ30cm程度に調整した枝条)1本からクローン平均12.6個の腋芽を採取することができた。試験2.腋芽の雑菌汚染防止 培養時の雑菌汚染を材料採取法、培養法などを検討して、汚染率を1.7%まで低下させた。試験3.水差し丸太の冷温保存 水差し用丸太を冷温保存して2~10カ月の保存が可能になった。試験4.大量増殖試験 長さ約30cmの丸太430本を水差しし、4,916本の腋芽を採取した。その腋芽を培養して3,493本のシュートを採取してそれを発根培養し、716本の発根苗を得た。試験5.増殖試験のシュート増殖率、発根率の経年変化 試験4の培養方法を3年間継続して行った。初年度(平成3年度)、2年度及び3年度のシュート増殖率は各々0.73倍、0.53倍、0.62倍、発根率は25.6%、18.7%、19.6%となった。試験6.シュートの増殖方法の再検討 シュートの増殖率を高めるため増殖方法を再検討したが、試験4,5よりも効率の良い方法は検索できなかった。試験7.発根方法の再検討 発根率の改善のため発根培養の培地組成を変えた結果、試験4,5で用いた発根培地に比べ発根率は4倍に向上した。試験8.培養苗の順化 (1)試験管からポットへの順化は用土にバーミキュライトを用いた場合が順化率が最も高かった。(2)試験管からポットへの順化が終了し温室で育苗したものを苗畑に移植した。移植時372本であったが、枯死するものが多く移植3年目には51本になった。試験9.試植林造成 苗畑で3年間育苗したものを使い試植林を造成した。1年経過後の平均成長量は樹高で32.1cm、根元径は0.36cmであった。