- 著者
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淺岡 勝彦
- 出版者
- 誠文堂新光社
- 雑誌
- 生産研究 (ISSN:0037105X)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, no.8, pp.312-314, 1952-08-01
わが國のダム用セメントは1934年(昭和9年)に初めて造られ,今日までに3ケ所のダムで實際に使用された。その量は合計して11萬トンに達している。この量は全體のセメント生産量から考えると,ほんの九牛の一毛にしか當らないが,しかし今後この使用量は朴當增加するであろう。ダム用セメントに要求される最も大切な性質は,凝結,硬化のときに發生する熱すなわち水和熱がなるべく小さいということである。この意味で現在ダム用セメントといわれているものには,主として低發熱型のポルトランドセメントがあり,その水和熱は廣い意味では大體普通セメントの65~90%位いに相當する。普通セメントの最終水和熱量は,大體,MgSO4・H2O(硫酸マグネシウムー水鹽)が水に溶解するときの總熱量に等しい。