著者
大鐘 敦子
出版者
関東学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

フローベールの最晩年の短編『ヘロディアス』は、「フローベール的文体の極致」としばしば指摘され、膨大な科学的資料に基づいて創作されている。本研究ではこの『ヘロディアス』の文体の錬金術の創造過程を自筆草稿における生成批評研究(内的生成)およびヘロディアス=サロメ神話の間テクスト性の研究(外的生成)を並行して行い、これまでで最も総合的な解明を試みて、『ヘロディアス』を19世紀最大のファム・ファタル神話形成の起源の一つとして新たに位置づけた。