著者
仲谷 英夫
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.154, pp.96-116, 1989-06-30 (Released:2010-05-25)
参考文献数
35

北海道勇払郡穂別町のサヌシュベ川より発見された長頸竜(爬虫類, 鰭竜目, 長頸竜亜目)化石を記載した.本標本にともなう軟体動物化石および微化石から化石の年代は後期白亜紀のサントニアンからカンパニアンと考えられる.本標本は体幹と四肢の部分が保存されており, 死後, 頸部や尾部の先端が脱落した後に埋積されたと考えられる.またその形態的特徴は長頸竜の中でもプレシオサウルス上科のエラスモサウルス科に属することを示している.しかし属以下の分類群については不明である.日本列島周辺の後期白亜紀の長頸竜はジュラ紀以降の長頸竜の分布を検討してみると, ユーラシアの北部または北アメリカから北太平洋を経由して移動してきたと考えられる.このことは同時代の海生二枚貝のデータとも調和的である.