著者
木村 達明 大花 民子 辻井 正則
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.151, pp.501-522, 1988-10-31 (Released:2010-05-25)
参考文献数
52

来馬層群から得られたつぎの分類群について記載を行った : Gleichenites? sp. A, Phlebopteris sp. A, Dictyophyllum kotakiense Kimura et Tsujii, Sphenopteris sp. H, Ptilophyllum shinadaniense Kimura et Tsujii, P. sp. cf. P. hsiangshanense Wu, P. sp. A, Pterophyllum? sp., Pseudoctenis nipponica Kimura et TsujiiおよびNilssonia sp. B, また西中山層から, Sphenopteris sp. G, Otozamites sp. CおよびPseudoctenis? sp.を追加記載した。日本のジュラ紀前期植物群は, 来馬型と西中山型に区別され, それらの間には共通する属種は発見されていない。私どもはユーラシア大陸で従来知られているジュラ紀前期植物群について詳細な検討を行い, それらは, 来馬型および西中山型のはか, シベリア型, 中央アジア型および, 南ヨーロッパ型の5類型に区別されることを明らかにした。
著者
鹿間 時夫 尾崎 博
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1966, no.64, pp.351-358_1, 1966-12-15 (Released:2010-05-25)
参考文献数
7

Brazil, San Paulo近郊Tatuiの花山伊之助氏の農場で発見された爬虫類骨格を新属新種とみとめ, Brazilosaurus sanpauloensisと命名, 記載した。この骨格は, 下部二畳系のIrati層の灰色石灰岩中から発見され, 福井市の斎木重一氏によつて著者らにもたらされたものである。
著者
ANN FORSTEN
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
Paleontological Research (ISSN:13428144)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.316-317, 1997-12-30 (Released:2008-02-01)
参考文献数
9

The species Equus nipponicus Shikama and Onuki is a true horse, possibly even a domestic animal, not an Asiatic wild ass. It has been dated to 1, 530±60 years B. P.
著者
TATSUO OJI SHONAN AMEMIYA
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
Paleontological Research (ISSN:13428144)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.67-70, 1998-04-30 (Released:2008-02-01)
参考文献数
13

Paleontological evidence indicates that crinoids (sea lilies : Echinodermata) were a major constituent of Paleozoic and Mesozoic shallow-marine communities (Meyer and Macurda, 1977; Cain, 1968). In the fossil record crinoid stalks usually occur in much greater abundance than other body parts such as arms and calyces. This difference has been attributed to selective preservation, the result of post-mortem process of fossilization or taphonomy (Baumiller and Ausich, 1992; Moore and Jeffords, 1968). Our observation of living crinoids in aquaria demonstrates that stalk fragments detached and isolated from a living crinoid survive more than one year, whereas other body parts tend to disarticulate rapidly. Such long survival of stalk fragments of crinoids firstly explains the dominance of crinoid stalks over other body parts in the fossil record, and secondly, and more importantly, it strongly suggests that such detached fossil stalks, as well as stalk pieces observed on today's sea floor, continued living for a long time, and were not dead body parts as previously considered.
著者
杉山 和弘
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.167, pp.1180-1223, 1992-09-30 (Released:2010-05-25)
参考文献数
70

岐阜県岐阜市金華山の珪質岩類より得られた放散虫化石を検討し, 3つの放散虫群集を識別した。それらは(1) Parentactinia nakatsugawaensis群集(Spathian), (2) Hozmadia gifuensis sp. nov.群集(early Anisian), (3) Triassocampe coronata群集(middle Anisian)である。放散虫化石を用いた時代決定ならびに堆積学的検討から, 調査地域の初生的な層序は暫定的ではあるが, 下位から順に下部三畳系の(1)黒色頁岩, (2)珪質頁岩~チャート, 及び中部三畳系の(3)層状チャートと復元された。また本地域から得られた二畳紀放散虫化石について, その産状を論じた。得られた放散虫化石のうち, 4新属26新種を含む代表的なものについて記載をおこなった。
著者
岡本 隆
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.154, pp.117-139, 1989-06-30 (Released:2010-05-25)
参考文献数
28

Nipponitesおよび近縁種Eubostrychoceras japonicumについて, 層序学的な形態変化をできる限り詳細に検討したところ, 各々の系統では, 時代と共に少しずつ, しかしながら段階的に殼表面の彫刻が変わっていくことが明らかになった。一方, Nipponitesの系統で最も原始的な形態型の殼彫刻やその他の形質は, 同時代のEubostrychocerasのそれと, ほとんど区別できない。両者は, 殼の三次元的構造が全く異なっており, これらの中間的形態も知られていないが, 前者は後者から派生したことが強く示唆される。本研究で示されたデータは, 先に筆者によって理論形態学的に帰結された, "Nipponitesは, Eubostrychocerasから全く突然に(中間型なしに)生じた"という仮説を, 比較形態学的および層序学的側面から支持するものである。
著者
松川 正樹
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.148, pp.346-359, 1987-12-30 (Released:2010-05-25)
参考文献数
30

銚子地域のバレミアン君ヶ浜層から産出したアンキロセラス科に属する異常巻アンモナイト1種を識別してKarsteniceras obataiと命名, 新種として記載した。そして, その成長初期の殼の内部構造と既に報告されている異常巻アンモナイトのそれもあわせて, 超科より高次の段階の分類と系統を議論した。この新種は, Karsteniceras asiaticum (Yabe et Shimizu)に類似する。しかし, その成長中期の段階の殼で, 腹部の肩の位置にある肋に頑丈な疣をもつこと, 成長後期で, 数多くの繊細な条線をもつことで区別される。両種は, 同一の祖先から派生したものと考えられる。準模式標本の一つで成長初期殼の内部構造が観察される。そのうち連室細管の位置に注目すると, 異常巻アンモナイトでも, それが腹部側にあるものと中央に位置するものと二つのタイプに区分できる。これは, 正常巻アンモナイトがその二つのタイプからなるのと同様に, 異常巻アンモナイトが多系統であるとする一つの論拠を示していると考えられる。
著者
高橋 静夫 ドムニング D. P. 斎藤 常正
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.141, pp.296-321, 1986-04-30 (Released:2010-05-25)
参考文献数
35

1978年8月, 山形県西村山郡大江町を流れる最上川で, 異常渇水のため露出した河床に大型哺乳類の骨格が含まれているのを2名の小学生が発見した。河床の岩層は, 本郷層の橋上砂岩部層で, 初期後期中新世のDenticulopsis katayamae Zone (9-10.4 Ma)を指示する珪藻化石を産する。一節の長さ6~8センチ, 直径14~15センチの椎骨が140センチの長さに連なり, 長さ20~90センチの大きく湾曲した肋骨が26本程度数えられた。骨格前部には長さ51センチの頭骨が, 口蓋を上に頭頂を下にした状態で保存され, 長さ41センチの一対の肩甲骨も認められた。骨格を砂岩からとり出すにつれて, この標本は体前半部の骨格がほぼ完全に揃った, 極めて良く保存された大海牛の化石であることが明らかになった。指・掌骨を含む右前肢は, 絶滅した大海牛類の前肢の構造を示す, 現存する世界唯一の標本である。骨格の特徴により山形の化石は, カリフオルニアから記載されたDusisiren jordaniに近似するが, 歯の大きさがjordaniのものの3/4と小さく, しかも咬合面の模様が単純で, 歯が著るしい退化を示す点で大きく異なる。歯の退化は, 大海牛の進化系列のもっとも際立った形質変化で, 大型の歯を備えた先祖型のDusisiren属から, 歯が退化して失われたHydrodamalis属への進化系列が北太平洋地域で確立されている。歯の特徴および肩甲骨, 胸骨, 手根骨の性質から, 本骨格はD. jordaniとHydrodamalis cuestaeを結ぶ, これまで未記載の中間型の種であることが判明し, ここにDusisiren dewana(和名 : ヤマガタダイカイギュウ)という新種を提唱した。H. cuestaeは, ベーリング海で1768年に絶滅したステラー大海牛(H. gigas)の先祖なので, 本新種の設定により, 中期中新世のD. jordaniにさかのぼる四代の大海牛の進化系列が明らかになった。
著者
加瀬 友喜 前田 晴良
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1980, no.118, pp.291-324_1, 1980-06-30 (Released:2010-05-25)
参考文献数
44

千葉県銚子地方の前期白亜紀層より得られた保存良好な軟体動物化石を検討した結果, 10新種を含む11属12種の腹足類化石(Calliostoma? ojii KASE, sp. nov., Ataphrus (s. str.) nipponicus KASE, sp. nov., Hayamia rex KASE, sp. nov., Hayamia choshiensis KASE, sp. nov., Amberleya (Eucyclus) japonica KASE, sp. nov., Oolitica sp., Metriomphalus nagasakiensis KASE, sp. nov., Perissoptera elegans KASE, sp. nov., Pietteia cretacea KASE, sp. nov., Ceratosiphon densestriatus KASE, sp. nov., Vanikoropsis decussata (DESHAYES) and Eriptycha japonica KASE, sp. nov.を識別・鑑定したので記載する。これらの中には, 腹足類の系統分類学上, 注目すべきいくつかの種が含まれている。Hayamia属は殻の外形, 表面装飾, 楕円形のフタを持つこと, および内唇の中央部に凹みを持たない点でNeritopsinae亜科の他の属から区別され, さらにHayamia属のフタはNaticopsis属のそれに類似する。以上の事実は, Hayamia属とNaticopsis属の親密な類縁関係が暗示され, Hayamia属がNeritopsis属とは異なった系列に沿って進化したことを暗示する。Pietteia cretaceaは翼状に伸びた外唇に直交する棘を持つ特異なモミジソデの一種類で, 従来本属はジュラ紀にのみ知られていたが, 今回の報告により, 前期白亜紀にも存在することが明らかになった。Ceratosiphon属はCOSSMANN (1907)以来Tessarolax属のシノニムと見なされてきたが, 両属が独立の属であることを示した。銚子層群産腹足類群の中には, フランスやイギリスのバレミアン, アプチアンあるいはアルビアンのものと共通, あるいは近縁な種が多く含まれている。
著者
増田 孝一郎
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1954, no.15, pp.159-162_1, 1954

茂庭層からら採集した<I>Patinopecten</I>の新種と記載した.最初に数個の撰本を筆着に提供してくれた東北大学理学部地質古生物学教室学生中島浩三君の名をとつて<I>Palinopecten najahubtai</I> MASUDA と命名した.
著者
HIROAKI KARASAWA
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
Paleontological Research (ISSN:13428144)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.217-223, 1998-12-30 (Released:2008-02-01)
参考文献数
42
被引用文献数
1

Two new species of decapod crustacean, Hoploparia miyamotoi (Astacidea : Nephropidae) and Callianassa masanorii (Thalassinidea : Callianassidae), are described from the Upper Cretaceous lzumi Group of Osaka and Hyogo Prefectures, Japan. H. miyamotoi represents the first record for the genus from Cretaceous deposits of Japan and C. masanorii is the second of a callianassid known from the Japanese Cretaceous. The occurrence of H. miyamotoi extends the known geographic range of Hoploparia to the west side of the North Pacific.
著者
SUSAN E. EVANS MAKOTO MANABE
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
Paleontological Research (ISSN:13428144)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.275-278, 1998-12-30 (Released:2008-02-01)
参考文献数
23

The Early Cretaceous Okurodani Formation, Tetori Group, near Shokawa village, Gifu Prefecture, Japan, has yielded a mixed assemblage of terrestrial and aquatic small vertebrates, including the fragmentary remains of a frog (ilium, vertebra) and a salamander (vertebra). These are the first Mesozoic lissamphibians recorded from Japan, and some of the oldest from Asia. The ilium is of rather primitive form and suggests a frog of basal grade, that is outside the Discoglossanura.
著者
畑井 小虎 増田 孝一郎 野田 浩司
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1974, no.95, pp.364-370_1, 1974-09-20 (Released:2010-05-25)
参考文献数
8

仙台市南西部の茂庭層基底部より, ほぼ完全個体の状態で産出した細長卵形状化石を検討した。その外周は薄質の石灰殻で被われ, その外表面には何ら彫刻・斑紋もなく, 滑めらかで, 両端がやゝ太さを異にする所謂卵の特徴を示すものである。此の様な化石は本邦における, すくなくとも新生代における記録は全くなく, 化石の産状と化石・現生種の近似の形態をとり得るものとの比較検討を行なった結果, Moniopterus japonicusなる新属・新種とし, 海棲爬虫類ウミヘビの類と判断した。
著者
田中 啓策 柴田 松太郎
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1961, no.42, pp.68-72_1, 1961

Toxasteridae科の<I>Aphelaster</I>には.これまでに南フランスおよびマジョルカの下部白聚系Hautcrivian階から産出する模式種<I>Aphelaster integer</I> (GAUTBIEK) だけが知られていた。本邦では.<I>Aphelastar</I>に属する.種が, Haulerlvio.Barrcmian階の下部物部川亜層群に相当する湯浅地方の有田層・山中地溝帯の石堂層・勝顔同川獄地の羽ノ油層および八代地方の八龍山層から産出する。したがって, 本邦での層序的産出範閉から.<I>Aphelaster</I>の生存期間はBarremianにまで延長されることがわかつた。日本産の種は, 前歩帯・対歩帯の特徴によって明らかに模式種と区別される。したがつて, 本邦産の種を新種とみとめ<I>Aphhelaster serotinus</I>と命名する。さらに, <I>Aphelaster</I>を由来せしめた<I>Toxaster</I> (<I>Eotoxaster</I>).Hauterivian期の<I>Aphelaster</I> Barremian期のAphelasterの系列における形態的変化から, 日木産の種は, より進んだ特徴を具えていると考えられる。
著者
早坂 一郎
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1965, no.57, pp.8-27, 1965

既に記載した2種のオウムガイ類の外に, 新たに1種を記載し.アムモノイド類8種の記載と共に発表する。産地付近の地質状況についての, 柳沢一郎・根本守両氏の記事は, ここの化石の産出の状況を知るために極めて有益である。岩質に依って3分された高倉山層群は, 古生物学的には, はっきり区分され得ぬもののようで, 全体としてSosio stageを示すものであろう。
著者
早坂 一郎
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1953, no.12, pp.89-95_1, 1953

北上山地中部の二畳系と称せられる地屑中に産した<I>Streptorhynchus</I>に似た形の, 腕足類は, Tinlorの<I>Str.allus</I> HAMLETと共に, <I>Meekella</I>に特有な一対の平行なdelthyrial supporting-plates を痂えている。HAMLETTはそれな新属とすべきであろうとの憲見であつたが, 資料不足のためさし控えた。Timorと北上とに別々に発見なれたのだから, HAMILETの考は正しいとされなけんばならぬと思うので, 新属名<I>Hamletella</I>な提案し北上のものを新所<I>H.kitakaucnsis</I>として記載した。なおカウカサス北部の上部二畳系中からLICHAREWが<I>St.allissimus</I>として報告した撰本は, 形は全く北上のものと同様であるが, beakと切つて調べたら, delthyrial supporting-platesが発見されそうな気がする。そうすればこれも<I>Hamletella</I>となり, 恐らくは北上産のものと同一の種になるであろう。
著者
松本 達郎 利光 誠一 川下 由太郎
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.158, pp.439-458, 1990-06-30 (Released:2010-05-25)
参考文献数
31

本属は世界諸地域の上部白亜系に産し広く知られている。しかし私は次の3点が未解決であることに気付いた。これに対する研究結果を記す。(I)模式種Ammonites pseudogardeniの概念が不明確であった。今回後模式を指定して再定義した。外側部に短肋(時に小突起)があるのが本種の1特質である。(II)二型性の存否が問題であった。本邦産H. angustumについて殼口縁の保存されているM殼・m殼の好例を示し, 模式種やH. gardeniにおいても二型のあることを説いた。(III)本属の系統上の位置付けが未解決であった。本属における二型M・m殼の大きさの比とM殼の絶対値はPuzosiaのそれにほぼ匹敵するが, Desmocerasの場合(研究中)とは異なる。コニアシアンにキールは無いが殼形がHauericerasに似て狭い平板形で肋の発達の悪いPuzosiaの種, 他方キールがあり短肋がその両側にあるHauericerasの種が産する。さらに稀ではあるがチューロニアンに短肋が外面部だけにあり初生的のキールをもつ種(Puzosia serratocarinata)が最近報告されている。また個体発生をたどるとHauericerasの幼殼はキールを欠きその形質はPuzosiaの幼殼と酷似する。これらの諸事実から, Hauericerasの初期の種はPuzosiaの中で殼形が挾い平板状で肋の発達が不十分な部類(subgroup)の種から由来したとみなされる。短肋や小突起は亜属H.(Hauericeras)では残存しているが, 亜属H.(Gardeniceras)では全く消失した。また亜科PuzosiinaeとHauericeratinaeとを併せて, 科Puzosiidaeとするのがよい。
著者
首藤 次男
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1958, no.31, pp.253-264_1, 1958-08-15 (Released:2010-08-11)
参考文献数
13

黒田と波部 (1952.54) はFusinus niponicus SMITH を模式種として, 新属Granulifususを創設した. 横山 (1928) の記載した宮崎罔群のFusus dnalisはこの属に含まれるのである. 宮崎罔群からは. このdualisのほか, 二新種が産出する. Grannlifusus に特徴的な形熊とその発生の比較にもとづいて, これら二種と, 既知の現生および化石の種との関係を検討した.
著者
Tomohiro NISHIMURA Haruyoshi MAEDA Yasunari SHIGETA
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
Paleontological Research (ISSN:13428144)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.11-28, 2006 (Released:2007-01-12)
参考文献数
47
被引用文献数
6

Ontogenetic shell development of the Turonian desmoceratine ammonoid Tragodesmoceroides subcostatus is examined based on more than 200 specimens collected by detailed biostratigraphic survey in the Tappu and Saku areas, Hokkaido, Japan. After the ammonitella stage, the mode of ribbing on the shell surface becomes coarser with growth. The shell surface ornament changes from stage 1 (almost smooth) to stage 3 (coarse ribbing) via stage 2 (weak ribbing). Stage 1 is subdivided into an earlier substage 1a with desmoceratid-type constrictions and a subsequent substage 1b without constrictions. Appearance order of these four ornament stages and substages seems to be ontogenetically fixed in the present species. Other characters, such as ammonitella and early shell shape and whorl geometry are also stable.On the other hand, the shifting-timing from stages 1 to 2 and from stages 2 to 3 changes chronologically, i.e., it becomes ontogenetically earlier in upward sequence. In the Lower and Middle Turonian, the adult or subadult shells still remain stage 1 or 2. In contrast the strongly ribbed holotype and paratypes showing stage 3 are regarded as the Upper Turonian peramorphic endmembers of the single biospecies T. subcostatus. Taking these features into consideration, T. subcostatus should be taxonomically revised.