著者
馬嶋 健一郎 永田 浩一 松本 啓志
出版者
The Japanese Society of Gastrointestinal Cancer Screening
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.600-606, 2015

大腸CTの読影で使用する三次元画像は精度検証済みの仮想内視鏡像が世界標準だが, 本邦では大腸展開像も使用される機会が多い。今回, 両読影法の精度を比較した。内視鏡にて病変が診断されている大腸CT症例100例を, 初級者1名が, 大腸展開像+MPR像による読影と, 仮想内視鏡像+MPR像による読影を行った。100例は1-50症例を第1セット, 51-100症例を第2セットとした。6mm以上の大腸ポリープ・癌の病変別感度は, 展開群, 仮想内視鏡群の順に第1セット67.9%(19/28), 89.3%(25/28), 第2セット86.1%(31/36), 91.7%(33/36)であった。展開群よりも仮想内視鏡群で感度が高く, 大腸CTの標準化では, 精度検証が済んでいる仮想内視鏡像による読影方法を優先すべきと考えられた。
著者
日山 亨 田中 信治 茶山 一彰 吉原 正治
出版者
The Japanese Society of Gastrointestinal Cancer Screening
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 = Journal of gastroenterological cancer screening (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.393-400, 2011-05-10
被引用文献数
2

今回, 上部消化管内視鏡検査(生検を含む)に伴う稀な偶発症に関する報告について, レビューを行った。1990年から2009年末までに英語(抄録を含む)で医学雑誌に発表されたものをMedline を用いて検索した。これら報告からデータを抽出し, 検討を行った。該当する偶発症としては,(1)出血:食道粘膜内血腫および十二指腸血腫,(2)空気塞栓症,(3)気腫・気胸・緊張性気腹:皮下気腫, 後腹膜気腫等,(4)腹部コンパートメント症候群,(5)横隔膜ヘルニア,(6)内視鏡嵌頓,(7)口蓋垂炎,(8)膵炎,(9)感染症関連:敗血症等,(10)び漫性脳浮腫があった。報告の中には死亡例もあった(十二指腸血腫や空気塞栓症等)。上部消化管内視鏡検査に伴う稀な偶発症の中には迅速な対応が必要なものもあり, 内視鏡医はこれらについて, 十分な知識を持っておく必要があると思われた。