- 著者
-
日山 亨
田中 信治
茶山 一彰
吉原 正治
- 出版者
- 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
- 雑誌
- 日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
- 巻号頁・発行日
- vol.60, no.8, pp.1437-1443, 2018 (Released:2018-08-20)
- 参考文献数
- 22
判例データベースで検索可能で,かつ,判決文が入手可能な上部消化管内視鏡・X線検査が関係した民事訴訟事例は,13事例(内視鏡検査関連9事例およびX線検査関連4事例)認められた.内視鏡検査が関係した9事例の内訳は,前処置後のショックが関係したものが4事例,胃癌の見落としおよび生検後の大量出血に関係したものがそれぞれ2事例,鎮静後の交通事故に関係したものが1事例であった.X線検査が関係した4事例の内訳は,胃癌の見落としとバリウムによる腸管穿孔に関係したものがそれぞれ2事例であった.5事例で医療機関側が勝訴しており,患者に悪い結果が生じたからといって,必ずしも医療機関側の責任とされてはいなかった.医療機関側の責任が認められるためには,3つの要件(患者側の損害,医療機関側の過失,因果関係)が揃う必要がある.事故時には,速やかに上記3要件について検討し,患者側に対する医療機関側の態度を決定する必要がある.