- 著者
-
遠藤 駿
横川 慎二
- 出版者
- The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
- 雑誌
- 電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
- 巻号頁・発行日
- vol.J104-D, no.4, pp.318-327, 2021-04-01
IoT技術の進展により,環境に関する多次元の時系列データを収集し,利活用する機会が増えている.ところが,多次元データの構造を可視化して把握することは容易ではない.従来法では,分析結果の図や表の数が増えてしまうことや,元データとの対応を考えることが困難になるという課題がある.このような多次元データの構造を可視化して比較的容易に把握することができれば,その結果を利用して様々なアクチュエータの制御に活用することや,深層学習の効率的な学習への応用が期待される.本論文では,大学附属図書館の施設内に設置された大量のセンサーから取得される多次元データに対して位相的データ解析(Topological Data Analysis; TDA)を適用し,対象エリアと近隣エリアのデータの関連性を可視化し,CO2濃度の上昇に寄与する要因を抽出した.本研究で提案する,TDAを用いたデータ構造の可視化によって元データとの対応を簡潔に表現する方法は,多次元時系列データの視覚的利用や応用に有用な結果を与えることがわかった.