著者
石渕 久生 中理 達生 中島 智晴
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J83-D1, no.10, pp.1097-1108, 2000-10-25

本研究では,繰返し囚人のジレンマ(IPD:Iterated Prisoner's Dilemma)ゲームを行うプレーヤが格子世界内に存在するような空間型IPDゲームにおける隣接プレーヤ間での信頼関係の表現方法を提案する.各プレーヤは隣接するプレーヤとのみIPDゲームを行い,遺伝的アルゴリズムにより戦略進化を行う.各プレーヤの適応度関数は,そのプレーヤの利得と対戦相手の利得との加重和により定義される.対戦相手の利得に関する重みは対戦相手から協調行動が得られた場合に増加し,裏切られた場合に減少する.正の重みは対戦相手への思いやりを表し,負の重みは敵対心を表す.通常のIPDゲームでは,対戦相手の利得に関する重みはゼロである.本研究では,空間型IPDゲームにおける戦略進化に重みの更新メカニズムを組み込むことにより,隣接プレーヤとの信頼関係の動的な変動を定量的に表現することを試みる.

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