著者
徳永 弘子 武川 直樹 木村 敦 湯浅 将英
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.1, pp.3-14, 2013-01-01

複数人が集って共にする食事(共食)は,人のコミュニケーションにおいて重要な役割を果たしているが,共食の場の構造を定量的データに基づき分析した研究例は少ない.本研究では,3人が食事をしながら会話をする映像から,参与者の視線,発話の行動を定量的に調査し,共食会話の構造を分析した.特に,視線持続時間と参与の役割ごとの発話行為,会話の順番交替直前の視線先と順番交替の関係を詳細に調べた.その結果,共食会話は食事のない会話に比べ,人に向ける視線持続時間が短く,会話は話者発話-聞き手発話-話者発話の隣接で構造化されること,更に話者発話による会話の順番交替では,会話者同士が視線を合わすことなく発話が遷移するケースが多いことが明らかになった.これにより,共食中は会話への参加の義務が緩く,話し手の発話は場に投げられ,次の発話は誰が開始してもよい場として形成されていることが示唆された.

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