著者
和泉 紘介 河村 圭 内藤 整
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J98-D, no.9, pp.1256-1264, 2015-09-01

映像サービス提供事業者にとって映像の品質を保証することは重要である.しかしながら,人手での映像の品質検査は高コストであるため,自動で品質検査することが望ましい.高解像度映像では,参照画像を用いた画素レベルでの検査処理は多大な計算コストを要するため,符号化映像データにおける符号化パラメータのみを利用して主観画質を推定するParametric NR(No Reference)客観画質評価技術が求められる.また,圧縮技術としてH. 265/HEVC (以下HEVCと呼ぶ)の普及が見込まれるため,高解像度向け客観画質評価技術にはHEVC圧縮による画質劣化を考慮することが不可欠である.しかし,HEVCは規格化完了から時間が経っておらず,HEVC対応の客観評価技術は十分に確立されていない.HEVCは多様なブロックサイズを選択できるため,大きなブロック周囲のノイズが知覚されやすくなった.従来方式ではこれらを考慮しないが,提案手法ではブロックサイズをテクスチャの複雑度指標として知覚されやすさを考慮する.また,HEVCのマージモードはあるフレームでのフリッキングとして知覚される領域が空間的に広がる.本論文では,HEVCの特徴を利用したParametric NR型客観評価方式を提案する.実験結果より,提案方式による客観評価値と主観評価との相関係数は0.945,RMSEは8.599の性能を有することを確認した.これは,AVCを対象とした従来の客観評価方式と同レベルである.

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