- 著者
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江原 宏
三島 隆
内山 智裕
内藤 整
豊田 由貴夫
- 出版者
- 三重大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2008
パプアニューギニア北部の東セピック州では,サゴヤシ民俗変種を,「大きい」(背が高い;樹高が大きい),「樹中の実(髄)が多い」といった樹体サイズなどを表す語,葉柄が白い,あるいは緑色といった特性,あるいは葉柄の基部の葉鞘に当たる部分の蝋状物質の蓄積程度の差を基準として仕分けているものと考えられた。同国ニューアイルランド島ケビエン地域においても,「木のように背が高い」との意味を示す語を名称とする民俗変種が分布するなど,樹体サイズの特徴が民俗分類で重要なことが明らかになった。また,胸高直径が特に大きな,多収性と考えられる民俗変種も認められた。ニューギニア島インドネシア領の西パプア州では,乾物率や澱粉収率の低い個体は,地下水位の高い地区に生育していたことから,生育環境が澱粉生産性に及ぼす影響の大きさが窺われた。一方,葉痕間隔が長いことは,生長速度が大きいことを意味するが,その値がニューアイルランド島の調査で幹胸高直径と負の関係にあることが窺われ,生長の早いタイプ,あるいは地域では,幹が細いということと考えられ,極めて興味深い結果を得ることができた。また,葉痕間隔とデンプン含量にも負の関係が認められ,生長の早いタイプでは低収傾向があることが窺われた。