著者
河村 圭悟 水上 直紀 鶴岡 慶雅
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.188-195, 2016-10-28

不完全情報ゲームにおいて,ナッシュ均衡戦略は非常に重要なテーマである.特に多人数不完全情報ゲームにおいては,ナッシュ均衡解を一般に求める方法はまだ確立されていないことから,多くの関心を集めている.2人テキサス・ホールデムはCFR+ (Tamelin, 2014) によって解かれた (generally weakly solved) が,CFR+は空間計算量の観点から3人以上のテキサス・ホールデムに適用するには問題がある.本研究ではNFSP (Heinrich and Silver, 2016) と呼ばれる手法を用いて,CFR+では解くことが難しい多人数不完全情報ゲームのナッシュ均衡解を求めることを目指す.本研究では,学習部分にソフトマックス回帰を用いたFictitious Self-Play (FSP) を使用して,テキサス・ホールデムのトイゲームである2人クン・ポーカーにおいてFSPが近似的なナッシュ均衡解を求められることを示した.また,多人数ゲームである3人クン・ポーカーにおいても,FSPが近似的なナッシュ均衡解を求められることを示し,CFR+の戦略に対するFSPの戦略の平均被搾取量が減少することを示した.
著者
石井 大祐 河村 圭 渡辺 裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.64, pp.187-192, 2009-05-21

コミックのコマ分割では高速かつ高精度な処理が必要とされている.我々はこれまで高速性と正確性の両立を目的とした高速高精度コマ分割手法(FAFSM)の提案を行ってきた.コマ分割では,処理プロセスの低減だけでなく,画像解像度の縮小により処理の高速化を行うことが可能である.しかしながら,画像解像度の縮小率が高くなるにつれてコマの分割精度は低下する.本稿では,実際にコマ分割実験を行い,コマ分割における分割精度と処理時間との相対的な評価を行った.そして,FAFSMにおける画像解像度変換によるコマ分割への影響に関して検討を行った.
著者
河村 圭亮 中村 光 竹村 雅志 三浦 泰人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.179-196, 2022 (Released:2022-05-20)
参考文献数
35
被引用文献数
1

あと施工せん断補強筋(PHB)で補強したRC部材のせん断抵抗メカニズム解明のため,4つの条件に着目して3次元剛体バネモデルによる数値解析を実施した.1つ目に,PHBの幅方向配置間隔を狭くするとせん断補強効果が高まることを示した.2つ目に,PHBを用いた場合も断面高さの違いによる寸法効果は閉合型スターラップを用いた場合と同様であることを示した.3つ目に,せん断スパン比a/dの違いで破壊モードが異なる条件でも内部ひび割れや耐力への影響は同様であることを示した.最後に,面部材などで幅方向が一様に拘束された条件下では,PHB・閉合型スターラップを用いたいずれの場合もアーチ機構とトラス機構が増加して梁部材よりも耐力が大きく増加することを示した.本検討はa/d=2.86の条件を基本とし,1.71~4.00の範囲で同様の傾向を確認した.
著者
山野 亨 桐山 魁 岡本 修 猿渡 雄二 荒木 義則 森安 貞夫 高田 知典 河村 圭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.F3-0127, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
11

近年,多大な人的被害を及ぼす豪雨に伴う激甚な土砂災害が起こっている.土砂災害発生時には,迅速な土砂災害調査が必要である.そこで我々は,マルチバンド受信機を使用することで,作業効率や調査員の安全性の向上を目指す災害調査支援システムを開発している.本稿では,広島県の災害復旧現場において,開発するシステムに使用する受信機の測位性能を評価する.劣悪環境下における定点測位精度の確認を目的とした砂防堰堤における実験では,水平方向の測位結果のばらつきが22mm(2DRMS)以下であることを確認した.森林中の測位性能の確認を目的とした森林中における実験では,水平方向の測位結果のばらつきが0.65m(2DRMS)以下であることを確認した.この結果,土砂災害調査におけるマルチバンド受信機の有用性が確認できた.
著者
渡辺 美鈴 渡辺 丈眞 松浦 尊麿 河村 圭子 河野 公一
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.99-105, 2005-01-25 (Released:2011-03-02)
参考文献数
18
被引用文献数
20 17

自立生活の在宅高齢者において, 外出頻度から判定した閉じこもりが要介護に移行するか, また低水準の社会交流がより強く要介護状態の発生を増幅するのかを明らかにするために, 閉じこもりおよびその状態像から要介護の発生状況を検討した.平成12年10月に兵庫県五色町の65歳以上の自立生活の在宅高齢者を対象 (2,046人) に閉じこもりに関する質問紙調査を行った. その後平成15年3月末日まで追跡し (追跡期間: 30カ月), 要介護移行について調査した. 閉じこもりの判定には外出頻度を用い, 1週間に1回程度以下の外出しかしない者を「閉じこもり」とし, 外出介助と社会交流を組み合わせた閉じこもり状態像をIからIVに分類した.「閉じこもりI」は一人で外出困難かつ社会交流はある,「閉じこもりII」は一人で外出困難かつ社会交流はない,「閉じこもりIII」は一人で外出可能かつ社会交流はある,「閉じこもりIV」は一人で外出可能かつ社会交流はないとした.本地域において, 自立生活の在宅高齢者の閉じこもり率は7.5%, 30カ月追跡後の要介護移行率は12.7%であった. 閉じこもりの約半数は閉じこもりIIIであった. 閉じこもり群は非閉じこもり群に比べて有意に高い要介護移行率を示した. 年齢別にみた見た場合, 85歳未満の高齢者においては, 閉じこもり群からの要介護移行率は非閉じこもり群に比べて有意に高率であったが, 85歳以上では, 両者の間に有意差を認めなかった. 閉じこもりの状態像別では非閉じこもり群と比較してどの群も高い要介護移行率を示した. 社会交流のない群はある群と比べて (IIとI, IVとIII), 要介護移行率が高い傾向を示した.以上の結果から85歳未満の自立生活の在宅高齢者においては, 閉じこもりが要介護移行のリスク因子になる. 要介護のリスクファクターとしての閉じこもりの判定には外出頻度・「週に1回程度以下」を使用するのが有用である. さらに閉じこもり状態像において, 社会交流のないことは要介護移行により強く関連することが認められた.
著者
河村 圭 長谷川 達哉 塩崎 正人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_83-I_92, 2016
被引用文献数
5

斜張橋ケーブルの一般的な点検方法は,大きく二つに分類され,高所作業車を用いた目視点検,または,クライミング技術等の特殊高所技術による目視点検で行われている.しかし,点検時に高所作業車を使用する場合は,橋面上約30mの高さまでが点検の限界であり,点検中は交通規制が必要である.また,特殊高所技術による目視点検の場合は,作業者の安全性の確保が問題となる.これらを背景として,著者らは,ロボットを用いた斜張橋ケーブル点検装置の開発を進めている.特に,本研究では,USBカメラ,ミニPC,さらに画像処理技術の活用により,1度の撮影でケーブル全周の撮影画像展開図を作成可能とする点検記録システムのプロトタイプを開発した.
著者
河村 圭 今村 哲也 大島 信幸 浜本 義彦
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.3_9-3_14, 2014 (Released:2014-05-31)
参考文献数
5

In 2010, Department of Information Science and Engineering, Faculty of Engineering, Yamaguchi University started a logical thinking education for undergraduate students. In the subjects related to the education, students learn knowledge, skills and attitudes to foster their coherent and logical thinking abilities. These subjects were developed under the industry-academia collaboration promoted by Information-technology Promotion Agency (IPA) . This paper describes the implementation of the education and the evaluation of the educational efficiency. It contains designing educational contents and materials that reflect company needs. Emphasizing the educational effectiveness, the questionnaire results of the subject evaluation and the competence self-evaluation are included in this paper. The competence is a set of the defined behaviors that show the ability of an individual to do a job properly.
著者
和泉 紘介 河村 圭 内藤 整
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J98-D, no.9, pp.1256-1264, 2015-09-01

映像サービス提供事業者にとって映像の品質を保証することは重要である.しかしながら,人手での映像の品質検査は高コストであるため,自動で品質検査することが望ましい.高解像度映像では,参照画像を用いた画素レベルでの検査処理は多大な計算コストを要するため,符号化映像データにおける符号化パラメータのみを利用して主観画質を推定するParametric NR(No Reference)客観画質評価技術が求められる.また,圧縮技術としてH. 265/HEVC (以下HEVCと呼ぶ)の普及が見込まれるため,高解像度向け客観画質評価技術にはHEVC圧縮による画質劣化を考慮することが不可欠である.しかし,HEVCは規格化完了から時間が経っておらず,HEVC対応の客観評価技術は十分に確立されていない.HEVCは多様なブロックサイズを選択できるため,大きなブロック周囲のノイズが知覚されやすくなった.従来方式ではこれらを考慮しないが,提案手法ではブロックサイズをテクスチャの複雑度指標として知覚されやすさを考慮する.また,HEVCのマージモードはあるフレームでのフリッキングとして知覚される領域が空間的に広がる.本論文では,HEVCの特徴を利用したParametric NR型客観評価方式を提案する.実験結果より,提案方式による客観評価値と主観評価との相関係数は0.945,RMSEは8.599の性能を有することを確認した.これは,AVCを対象とした従来の客観評価方式と同レベルである.
著者
石井 大祐 河村 圭 渡辺 裕
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J90-D, no.7, pp.1667-1670, 2007-07-01

2分割を繰り返すことによりコミック画像を各コマに分割する手法が提案されている.本論文では,幅をもつ検査帯により分割線候補の検出を行い,分割線適合検査によりコマ分割を決定する手法を提案し,実験によりしきい値と分割精度について評価を行った.
著者
河村 圭 渡辺 裕 富永 英義
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.99, pp.7-16, 2003-10-03
被引用文献数
9

マンガは線画を中心に構成されているため,ベクトル化が有効な符号化手法である.しかし,単純なベクトル化は,網点の存在により逆に符号量の増加をまねく.また,網点を含んだままの解像度変換はモアレの発生原因となる.そこで,本稿では,マンガをベクトル表現する際に網点部分を分離して多階調近似し,残りの線分と共に符号化する手法について検討する.Vectorization is an effective technique for comic image coding, since comics are mainly consist of line drawings. However, an existence of halftone-dots causes an increase of coding bitrate if simple vectorization is used. In addition, moires occur when a resolution of the image with halftone-dots is changed. In this paper, we propose a new technique to achieve highly efficient comic image coding. First, we separate the area of halftone-dots and line drawings from an image. Then, a continuous tone approximation is applied to the area of halftone-dots. Next, the conventional vectorization is applied to line drawings. Finally, these two components are mixed together.