- 著者
-
松薗 斉
- 出版者
- 国際日本文化研究センター
- 雑誌
- 日本研究
- 巻号頁・発行日
- vol.44, pp.407-424, 2011-10-23
従来、総体的な把握がなされてこなかった中世後期の日記についてその特色を述べたものである。まず室町期について、前代より継続して記される公家の日記は、南北朝期に生じた朝廷の儀式の断絶や以後顕然化したその衰退及び経済的基盤を失って生じた公家たちの疲弊が、その「家」の日記の作成活動に停滞をもたらし、彼らの日記が前代にもっていた国家的な情報装置としての役割を低下させたことを指摘した。