- 著者
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大谷 晃司
- 出版者
- 医学書院
- 雑誌
- 臨床整形外科 (ISSN:05570433)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.11, pp.1045-1048, 2017-11-25
難治性慢性疼痛の病態仮説
発症後3カ月以上経過しても疼痛が改善しない疼痛は,慢性疼痛と定義される.特に,各種治療法を駆使しても疼痛が改善されない疼痛,疼痛によって生じている機能障害,あるいは,疼痛が残存する現状に満足できない状態のような「治療に難渋する」疼痛を難治性疼痛と呼ぶ1)(図1).疼痛の難治化には,多かれ少なかれ,解剖学(身体)的な原因のみならず,心理的あるいは社会的因子,個人の性格や人格的な問題,あるいは精神医学的疾患の関与が複雑に絡み合っていると考えられている.慢性疼痛を「生物・心理・社会的症候群」として捉えるべきであるとされる所以である2).一方,最近の神経科学の進歩から,脳機能が疼痛の先鋭化や遷延化に関与していることが明らかにされつつある3).