著者
安部 勝人
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.31, no.9, pp.1149-1151, 1977-09-15

動物の視力に重要な影響を及ぼすのは,視軸の発散と脈絡膜と網膜の構造である。 脈絡膜の境界層は家畜(豚兎を除く)にはなくこの部分の血管板と毛細管板の間で乳頭より上方部位によく輝くTapetum Lucidumという一種の反射層がある。このタペタムは動物によりその組織が異なつている。馬,牛,羊など草食獣は線維性であり,犬,猫など肉食獣は細胞性で強い反射力をもつ。タペタムの作用は弱光が眼に入る時,タペタムで反射され視細胞を再度刺激することである。当然ながら,絶対暗室ではその作用は役立たない。タペタムのある部位では網膜の色素上皮層は色素を欠き,タペタムの作用をたすける。猫のタペタムは写真の黄色フィルターと同じような作用をしていて,コントラストをさらに強める働きをする。猫は弱光中でも注視した物体の輪郭がはつきりみえる。その反面,日中の強力な光線は猫にとつては異常にまぶしく,夜間に強力な光が急に眼に入るとタペタム反射が強いため,一時的に失明状態となる。夜間動物の眼に光をあてると青く,赤く,時にオレンジ色に輝いて見えるのはタペタムの色素によるものである。

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@_ng43 眼の面積や構造と視神経の伝達速度は関係しそうですねえ。あと草食肉食の輝板の違いに関しては、「草食は繊維性、肉食は細胞性」という記述もありました。細胞性の方が強い反射能力があるようですが、繊維性は光のある波長に特化できそうな気がしてます。https://t.co/sSSEFLZIwX

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