著者
田中 真 小山内 隆生 加藤 拓彦 小笠原 寿子 和田 一丸
出版者
三輪書店
雑誌
作業療法ジャーナル (ISSN:09151354)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.1055-1062, 2015-09-15

Abstract:統合失調症患者61名と健常者54名を対象として,色彩に対して抱く感情およびイメージの特徴について分析を行った.色彩に対する感情語の選択割合が5割を超えた項目は,統合失調症群は一つもなかったのに対し,健常者群では青に対する平静,黄に対する愉快,緑に対する平静の3色が5割を超え,統合失調症群に比べ有意に選択割合が高かった.両群に対して色彩に対するイメージ課題を行った結果,青と緑において健常者群は冷たいととらえている者が多いのに対し,統合失調症群は熱いととらえている者が多かった.統合失調症群の中で,REHABにおける問題行動がある者および全般的行動得点が低い者は,そうでない者に比べ感情の適合割合が低かったことから,これらの者は通常経験すべき社会体験を十分に積む機会がなかったことに加え,色彩に対して感情を選択する際に何らかの混乱を生じている可能性が示唆された.

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