- 著者
-
西村 勝治
- 出版者
- 南江堂
- 雑誌
- 臨床雑誌内科 (ISSN:00221961)
- 巻号頁・発行日
- vol.112, no.1, pp.91-95, 2013-07-01
ステロイドは精神症状の発症リスクがもっとも高い薬剤の一つであり,自殺のリスクは7倍に上昇する.気分障害(躁病,うつ病,混合性の各エピソード),精神病性障害,せん妄,軽度認知障害など多彩な臨床症状を呈する.急速・高用量投与時には躁病エピソードが,長期投与ではうつ病エピソードが生じることが多い.ステロイド誘発性精神障害(CIPD)の発症は用量依存的であるため,治療の原則はステロイドの減量・中止である.対症療法として,躁病エピソードには抗精神病薬や気分安定薬が適応となる.うつ病エピソードには慎重に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を用い,三環系抗うつ薬を使用しない.せん妄,精神病性障害には抗精神病薬を用いる.精神科医との連携が欠かせない.