- 著者
-
本多 真隆
- 出版者
- Japanese Council on Family Relations
- 雑誌
- 家族研究年報 (ISSN:02897415)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, pp.59-76, 2015 (Released:2015-12-11)
- 参考文献数
- 47
有賀喜左衛門は、「家」についての実証的研究で名が知られるが、その政治的立場に着目されることは少ない。しかし有賀は、戦後の革新陣営や保守陣営とは違うかたちで、「家」と「民主主義」について多くの議論を展開していた。本稿は、有賀の「家」と「民主主義」についての議論を、彼の「家」に対する問題意識と照らし合わせながら分析し、またその議論が戦後の家族研究においてどのような立ち位置にあるかを探る。 検討の結果、「家」が「民主化(近代化) 」していくという、有賀の問題意識と視座が明らかになった。結論部では、有賀が提示した視座を「家族」の民主化ではなく、「家」の民主化と位置づけ、その展望について論じた。