著者
石田 沙織
出版者
家族問題研究学会
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.59-76, 2016

<p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;本稿は、腐女子を自認する女性達に見られる、家族に対してなされる腐女子であることの隠蔽ないし表明に関連した彼女達のふるまいに着目し、腐女子達にはどのような規範が重視され、それはまたどのように日常生活に反映されているのかを明らかにすることを目的とする。先行研究においては、女性は子どもの頃から将来的な妻・母役割を意識した家族規範を示されてきており、それに抑圧を感じた者が腐女子となったと指摘されてきた。だがインタビュー調査の結果、今日家族規範は腐女子にとって抑圧的なものでも、妻・母役割と直結したものではないことが明らかにされた。女性達が家族に対し腐女子であることを表明する際には、家族成員同士の情緒的な関係性を重視する家族規範が反映されている一方で、隠蔽しようとする際にも異性愛規範・性規範を前提にした家族規範が影響していることが示された。</p>
著者
大森 美佐
出版者
Japanese Council on Family Relations
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.109-127, 2014 (Released:2015-03-31)
参考文献数
19

日本では、晩婚・未婚化現象、それと連動して起こる少子化の傾向を問題視してか、人々に恋愛や結婚を意識させるような話題がメディアを媒介に世間を賑わせている。しかし、依然として結婚前の「恋愛」を中心的に扱った調査研究は少ない。本稿では、1983年から1993年生まれ、現在20歳代の未婚男女で異性愛者24名を対象にフォーカス・グループディスカッションと半構造化インタビュー調査を行い、若者たちが「恋愛」をどのように語るのかというレトリックに注目し、その論理構造をジェンダー視点から考察した。考察の結果、「付き合う」という契約関係は性関係を持つことの承認を意味するが、「付き合う」ことが必ずしも「恋愛」と同義ではないということがわかった。特に女性からは、結婚に結びつく恋愛を「恋愛」であるとする語りがみられ、ロマンティック・ラブを忠実に体現しようとすればするほど、「恋愛」から遠ざかるということが示唆された。
著者
鹿目 久美
出版者
Japanese Council on Family Relations
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.5-13, 2013-07-10 (Released:2017-02-14)

結婚後、自然豊かな福島で家族とともに暮らしていた生活は、東日本大震災後の原発事故であっけなく失われた。事故後の放射能による娘の健康不安から、私は神奈川へと母子避難を決意した。被害にあったこと、避難することで、家族のつながり、友人とのつながり、地域とのつながりを失いかけていた避難先の生活で、福島の子どもを招く保養キャンプの活動に参加するようになった。自分たちのためにも福島の子どもたちのためにも、この活動を続けていきたいと考えている。
著者
神谷 悠介
出版者
家族問題研究学会
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.77-91, 2015 (Released:2015-12-11)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本稿では、インタビュー調査に基づき、ゲイカップルの生活領域における意思決定プロセスを明らかにすることによって、パートナー関係における民主主義を考察することを目的とする。研究の結果、ライフスタイル上のロールモデルの不在という状況下で、パートナー間において交渉により合意に至る民主主義のプロセスが展開されるという先行研究の知見が支持された。その一方で、意思の相違や力関係、ヘテロノーマティビティが民主的な意思決定に支障をきたすことが示された。以上を踏まえ、パートナー関係における民主主義に困難性が生じる場合の意思決定モデルの構築の必要性が明らかになった。
著者
石田 沙織
出版者
Japanese Council on Family Relations
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.59-76, 2016-07-10 (Released:2017-02-14)
参考文献数
30

本稿は、腐女子を自認する女性達に見られる、家族に対してなされる腐女子であることの隠蔽ないし表明に関連した彼女達のふるまいに着目し、腐女子達にはどのような規範が重視され、それはまたどのように日常生活に反映されているのかを明らかにすることを目的とする。先行研究においては、女性は子どもの頃から将来的な妻・母役割を意識した家族規範を示されてきており、それに抑圧を感じた者が腐女子となったと指摘されてきた。だがインタビュー調査の結果、今日家族規範は腐女子にとって抑圧的なものでも、妻・母役割と直結したものではないことが明らかにされた。女性達が家族に対し腐女子であることを表明する際には、家族成員同士の情緒的な関係性を重視する家族規範が反映されている一方で、隠蔽しようとする際にも異性愛規範・性規範を前提にした家族規範が影響していることが示された。
著者
石田 沙織
出版者
家族問題研究学会
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.59-76, 2016

<p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;本稿は、腐女子を自認する女性達に見られる、家族に対してなされる腐女子であることの隠蔽ないし表明に関連した彼女達のふるまいに着目し、腐女子達にはどのような規範が重視され、それはまたどのように日常生活に反映されているのかを明らかにすることを目的とする。先行研究においては、女性は子どもの頃から将来的な妻・母役割を意識した家族規範を示されてきており、それに抑圧を感じた者が腐女子となったと指摘されてきた。だがインタビュー調査の結果、今日家族規範は腐女子にとって抑圧的なものでも、妻・母役割と直結したものではないことが明らかにされた。女性達が家族に対し腐女子であることを表明する際には、家族成員同士の情緒的な関係性を重視する家族規範が反映されている一方で、隠蔽しようとする際にも異性愛規範・性規範を前提にした家族規範が影響していることが示された。</p>
著者
齋藤 直子
出版者
Japanese Council on Family Relations
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.5-20, 2016-07-10 (Released:2017-02-14)
参考文献数
21

この論文では、未婚化社会における被差別部落の青年たちの恋愛・結婚の現状について考察する。     まず、議論の前提として、部落出身者の定義の問題について述べた。次に、部落出身者に対する結婚差別の状況について述べた。日本社会が、見合い婚から恋愛婚に変化したことによって、結婚差別の状況も変化した。     そして、「未婚化社会」における部落青年たちの恋愛・結婚について論じた。部落青年の結婚に関する最大の悩みは、全国の青年とまったく同じで、適当な相手にめぐり会わないことである。だが、差別に対する不安もある。恋愛関係において、つきあったり別れたりを繰り返すことができる現在、相手の心変わりの理由は無数にあり、別れの理由が部落差別かそうでないのかを見分けることは難しくなった。これを「恋愛差別」と名付けた。     また、部落青年が結婚できないのは、日本社会の未婚化の影響なのか、差別のせいなのか、就職や学力の不利が間接的に影響を与えているのか、理由を断定することは難しい。結婚できないことを、本人の責任にされてしまいかねない状況がある。     最後に、未婚化社会における結婚・恋愛差別への対処について、考察をおこなった。
著者
中臺 希実
出版者
Japanese Council on Family Relations
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.75-92, 2014

本稿では、近世中期における都市部の民衆が持った「家」に対する集合心性を、明らかにすることを目的とする。近世中期において民衆から支持された近松門左衛門脚本の世話物11作品を分析史料として取り上げ、男性主人公に共通した入聟や養子という立場に着目し分析を行った。男性主人公が共通して抱えた「家」に対する葛藤や自身の立場への否定的な態度を分析することで、近松世話物に表象された民衆の「家」に対する集合心性を明らかにすることを試みた。 <BR>    本稿の試みによって、当該期における民衆の「家」に対する心性の複雑性を提示することが出来た。さらに、近世中期における都市部の民衆が持った「家」に対する心性は肯定的または否定的であったというような二元論で語れるものではなく、複雑な感情を内包していたことを、メディアにおける表象から示した。
著者
大貫 挙学
出版者
Japanese Council on Family Relations
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.39-56, 2013-07-10 (Released:2017-02-14)
参考文献数
50

「言語論的転回」以降のフェミニズム理論において、性別カテゴリーやセクシュアル・アイデンティティは、言説による構築物とみなされるようになっている。J. バトラーによれば、主体は、言語行為によってパフォーマティヴに構築されるものである。 しかし、こうした理論的傾向に対しては、「文化的」次元のみが過度に強調され、「物質的」不平等の問題が軽視されているとの批判がある。一方、性差別の物質的側面を重視してきたのが、マルクス主義フェミニズムであった。とはいえ、マルクス主義フェミニズムにおいては、性的主体化の言説的機制が適切に理論化されていない。     そこで本稿では、主体の言説的構築を前提とする立場から、マルクス主義フェミニズム理論の再検討を行いたい。とくに、社会の内部/外部の非決定性が、物質/文化の相互還元不可能性を示していることを主張する。
著者
田並 尚恵
出版者
家族問題研究学会
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.15-28, 2013-07-10 (Released:2017-02-14)
参考文献数
15

日本では1995年に発生した阪神・淡路大震災以降、多くの自然災害が発生している。 だが、これらの自然災害のうち、被災者が全国的に避難したケースはそれほど多くはなく、阪神・淡路大震災と三宅島噴火災害(2000年)、そして東日本大震災(2011年)の3例だけである。災害研究では、個人の生活再建には「医(心身の健康)、職(仕事)、習(子どもの教育)、住(住まい)」の支援が重要であるとされる。東日本大震災の広域避難者の多くは原子力災害による避難者であると指摘されており、地域によっては将来的に戻る時期が見通せない地域もあるため、避難先での支援と継続的な支援がより必要となると考える。
著者
佐々木 てる
出版者
家族問題研究学会
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.21-34, 2016

<p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;これまで在日コリアンの2 世、3 世にとって恋愛そして結婚における「民族的な違い」とは大きな壁であったことは報告されてきた。すなわち「朝鮮人との結婚はゆるされない」「日本人ではなく同胞と結婚すべきだ」という言説はよく聞かれるものであった。 <BR>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;これに対して近年では、通名であった人々も民族名で生活するケースも増えてきた。 そうなると名前だけではオールドカマーか、ニューカマーなのか、さらには出身国が中国か韓国か台湾かなどの区別もつかないことがあり、最初から「違い」を前提としたつきあい、そして結婚に至るケースがある。グローバリゼーションが進展するなか、民族的な差異は他の多くの差異(年収、出身地域、学歴、文化資本など)の一つに解消されている感もある。 <BR>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;では未婚社会と言われる現代において、(旧来的な)「民族的差異」は本当に婚姻を疎外する要因になっていないのか。そもそも在日コリアンの若者世代は、恋愛において民族の違いに意味付けをするのか。ここでは聞き取り調査の結果をもとに、昨今の在日若者世代の結婚、恋愛観について述べていくことにする。</p>
著者
本多 真隆
出版者
Japanese Council on Family Relations
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.129-146, 2013-07-10 (Released:2017-02-14)
参考文献数
42

本稿は、日本の家族研究における、M・ヴェーバーの「ピエテート(Pietät)」概念の受容のあり方を、戸田貞三と川島武宜の著作を中心に検討する。M・ヴェーバーの「ピエテート」概念は現在、「家」制度における権威服従関係を支える意識として理解されている。戸田と川島はそれぞれ、家族研究における「ピエテート」概念の受容の先駆者であった。検討の結果、戸田と川島は「ピエテート」概念を、戦前の「家(家族制度)」の権威服従関係と情緒的関係の関連を論じるために用いていたこと、そしてその関係は、「近代家族」の情緒的関係とは性質を異にすることが明らかになった。結論部では、「日本型近代家族」を「家」と「近代家族」の二重構造と捉えて分析する場合は、情緒概念が歴史的変遷を含め、多義的であることを認識することが必要であることを示した。
著者
和泉 広恵
出版者
家族問題研究学会
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.37-53, 2014 (Released:2015-03-31)
参考文献数
16

本論文は、岩手県の親族里親等支援事業の実践を通して、震災支援における「支援者-被支援者」の関係性のあり方について追究することを目的としている。この事業は、岩手県里親会が震災以降に親族養育者となった人に対して、被災地でサロンを開催する事業である。2011年10月から始まり、現在も継続している。     本論文では、里親会会長へのインタビューと事業のフィールドワークを元に、この事業の意義について、分析を行った。調査から示されたのは、里親が近親者の死という親族養育者の「痛み」に衝撃を受けたことと親族養育者に対して控えめな支援を行っていることであった。控えめな支援とは、震災ボランティアとも当事者同士とも異なる、親族養育者の「痛み」にただ寄りそうという支援である。また、支援の背景には、震災後に生じた「岩手」という領域の構築と支援を行う過程で示された子どもの受け皿としての「里親」の役割があることが明らかになった。
著者
松井 由香
出版者
家族問題研究学会
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.55-74, 2014 (Released:2015-03-31)
参考文献数
25

本稿は、従来の家族介護研究において不可視化される、あるいは問題化される傾向にあった男性介護者に注目し、彼らが語る「男性ゆえの困難」について考察することを目的とする。具体的には、彼らが日々直面している介護をめぐる困難について、自らを「男性」あるいは「夫/息子」であることに関連づけて言及したトピックスを抽出し、彼らにとっての「男性ゆえの困難」の内実と意味づけを分析することをとおして、家族介護をめぐるジェンダー規範のありようについて考察した。調査対象者は、「仕事と介護の両立困難」「家事役割遂行の困難」「身体接触をともなう介護の困難」「介護の『仕事化』とそれにともなう困難」を「男性ゆえの困難」として語った。それらの困難は、彼らが介護や家事を女性が担うべきジェンダー化された役割として捉えていることを逆説的に示した。