著者
松本 ますみ
出版者
Japan Association for Middle East Studies (JAMES)
雑誌
日本中東学会年報 (ISSN:09137858)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.147-171, 2005-09-30 (Released:2018-03-30)

中国ムスリムに対するキリスト教宣教は、19-20世紀半ば、福音主義宣教会の中では大きな課題となった。中国のムスリム人口は当時3000万人とも言われ、インドについで第2位といわれた。植民地主義の時代、他地域のムスリムの大多数が西欧の支配下、すなわち、「キリスト教徒の支配者」の下にあったが、「異教徒」の政権下の中国ムスリムは、福音から最も遠いという点において「問題」であると考えられた。植民地主義がピークに達した1910年のエジンバラ世界宣教会議以降、中国ムスリムに対する宣教も本格化、さまざまなパンフレット、宣伝文書、ポスターの作成が行なわれた。それに対し、ムスリム側も、論駁書、啓蒙書の発行、学校設立などイスラーム復興に着手して対抗を図った。ただ、両者の対立が深刻化しなかったのは、多文化多宗教の共存を旨とする中国ムスリム側の伝統による所が大きい。また、宣教師にもイスラームに深い共感を示した者が存在したことも大きい。

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